スリランカ移民政策の成否を左右する2つの課題

理想的なシンガポールの移民政策とは程遠い状態にあるスリランカ。そのスリランカが、国境開放に向けて、最初に取り掛かるべきなのは隣国インドとの協力体制の強化、そして、国内の労働環境の改善です。今回はその2つの課題を取り上げます。

インドとの経済協力拡大に期待するIT業界

スリランカにおいて規模拡大に悪戦苦闘している産業のひとつは、IT業界だろう。スリランカにあるいくつかの企業は、世界的な大企業で重要な役目を果たすフリーソース、あるいは、オープンソースであるソフトウェアやシステムを専門とするようになった。これらの企業のうち何社かは、スリランカでは十分にエンジニアが確保できず事業規模の拡大が見込めないため、じきにインドに支社を設立しなければならなくなるだろう。

 

スリランカとインドが経済協力関係をより深めようと交渉するなかで、スリランカのIT業界はインドのソフトウェア・エンジニアをスリランカで働けるように許可してほしいと要求した。もし今後もスリランカで労働力不足が続くようであれば、企業は人材を求め他国に拠点を移し、その結果、投資先としても他国に劣ってしまう。

 

先端技術だけでなく、ホテル業界なども有能な人材確保に困っているため、移民の受け入れで恩恵を受けることが出来るだろう。外国人労働者や移民は、自由貿易が及ぼす影響に近い効果をもたらす。そのメリットは、受け入れるためのコストを上回る。

労働環境が労働者の生産性を高める

理論上、自由貿易においては、労働力の移動が起こらなくても、似た技術を持つ2国の賃金は同じぐらいになるとされる。しかし現実世界でこのようなことはほとんど起こらない。同等の教育を受け、類似した経験を持ち、同じ職務に就いている2人の労働者がいたとしても、2国間での賃金は大幅に異なることもあり得る。それはこの2国間で自由貿易協定が結ばれていたとしてもだ。

 

2人のうち、より多く稼ぐ者は生産性の高さの違いから、より多くの価値を提供することが出来る。そして、この生産性の差とは、その労働者が働く国のインフラ・テクノロジー・関連施設などの優劣の差によって生まれる。

 

労働者を貧しい国からより良いインフラ・テクノロジー・関連施設を持つ国に移住させさえすれば、その働き手は即座により価値を生み始めるだろう。このような事例はどの経済分野にも見られることだ。例えば、ある従業員が社内で、より革新的でより優れたテクノロジーを使い、能率的な労働環境が与えられた新しい職務に就いた場合、その人は一瞬にして生産性を高めるだろう。


次回は、移民受け入れがスリランカにもたらす良い効果をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年12月に掲載した記事「Sri Lanka must throw open its borders to foreign workers & immigrants, without many conditions」を、翻訳・編集したものです。

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『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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