個人と法人による賃貸不動産の「共有」で得られるメリット

前回に引き続き、賃貸不動産を個人と法人で共有することで得られるメリットについて見ていきましょう。

個人には「借入のリスクを軽減できる」メリットがある

前回にも説明した、「賃貸不動産を個人と法人で共有する」といった方法を実行する目的は、個人が初期の自己資金がない(あるいは資金はあるが初期での支払いを抑えたい)状態で、賃貸不動産を所有して節税を図ることです。

 

その中でなぜ担保設定料を法人に支払うかというと、まずは社債利息の原資にするためです。社債利息の支払いの目途が立っての社債利用ですので、そこは外せません。

 

社債利息のためとはいえ、個人が法人に担保設定料を支払うことにもメリットがあります。

 

たとえば相続が発生して、節税メリットを享受したあと、この賃貸不動産を売却するとします。このとき個人借入の残債より個人名義の賃貸不動産の売却価格が下回っても、法人名義の賃貸不動産の売却分から、個人借入を返済することが可能です。

 

法人が所有している土地に個人借入の担保設定を付けさせるということは、個人にとって借入のリスクが軽減するメリットがあります。

 

また、そうとはいえ、担保設定料を取られて資産形成ができないというのは一見デメリットにも感じられますが、資産家にとって家賃収入がたまらないということは、相続財産が増えないメリットとなる場合もあるので、このあたりは考え方次第です。

 

そして、賃貸不動産を法人で共有することで、管理をすべて法人に任せることが可能です。収入と支出を持ち分で按分する必要がありますが、不動産管理会社との窓口になるのは一般的に法人です。入金や出金、決算時の精算など各種の煩わしい手続きはすべて任せられます。ただし、事務手数料は個人取り分から差し引かれることになります。

 

このように、個人にはメリットが多い方法ですが、実際第三者に社債を購入してもらわなければいけないので、投資家を募ることが1つのハードルになるようにも見えます。

高い社債利息を投資家に支払えば双方にメリットあり

しかし、当該社債の購入が投資家にとって魅力的な金融商品であれば、投資家を募るのもそれほど難しいことではありません。

 

投資家には相応の社債利息を支払いますが、社債利息の課税は源泉分離課税という課税方式で、税率は所得税と住民税合わせて一律20%(復興特別所得税を除く)です。投資家が高額所得者の場合、所得税と住民税を合わせて平成27年以降最高55%(復興特別所得税を除く)の税率が課税されますので、この社債の購入は投資家にとって有利となります。

 

法人が個人借入の保証をすることは社債購入者の投資家にとってはリスクですが、そのリスクを加味したうえで高い社債利息を設定しますので、そこも問題ありません。平均で7%前後の社債利息を投資家に支払うことができるような流れで考えますので、投資家たちにはそれで納得していただきます。

 

個人だけでなく投資家にもメリットをもたらすまさにWin-Winの方法なのです。

本連載は、2013年11月27日刊行の書籍『大増税時代に大損しない相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載大増税時代に大損しない「不動産を活用した相続税対策」

北村税理士事務所 代表
税理士(東京税理士会麻布支部所属)
TKC全国会資産税対策研究会 会員 

1971年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学卒業後は東京都港区の藤浪会計事務所に所属、資産税を中心としたコンサルティング業務に従事。六本木ヒルズや白金プラチナタワーなどの再開発案件にも携わる。2005年より早稲田大学大学院会計研究科にて租税法の大家である品川芳宣教授に師事。2007年、北村税理士事務所を開設。現在は相続税対策・申告や、顧問税理士業務を中心に行う。

著者紹介

大増税時代に大損しない 相続税対策

大増税時代に大損しない 相続税対策

北村 英寿

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税対策を成功させるためには、実行に移してからの最終的な「出口戦略」まで考える必要があります。 「出口戦略」とは、相続税対策のために購入した賃貸不動産の最終的な顛末を考えることです。 相続発生後は、基本的にそ…

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