前回は、ハワイ不動産の購入に際し、現地の銀行で融資を受ける方法を取り上げました。今回は、住宅ローン以外で資金調達する方法を紹介します。

売主から借りる「セラーズ・ファイナンシング」

ハワイの不動産購入では、銀行から住宅ローンを借りる以外にもいくつか資金調達の方法があります。

 

ひとつは、売主から借りるもので、「セラーズ・ファイナンシング」といいます。そして、「セラーズ・ファイナンシング」には「パーチェス・マネー・モーゲージ」と「アグリーメント・オブ・セールス」の2種類があります。

 

「パーチェス・マネー・モーゲージ」では、購入時に物件の所有権が売主から買主に移るとともに、買主は代金の一部(頭金以外)を分割で売主に支払います。銀行ローンのように各種証明書や手数料が不要になるので、諸経費の節約になります。

 

この方法は、売主がどうしても早く売りたい場合や物件の市場性が低い場合、売主が一度に売却額をもらうのではなく毎月一定額を受け取りたい場合などに用いられます。

 

ただし、期間は銀行ローンより短く、後で銀行ローンに切り替えることが前提のケースが一般的です。また、売主の物件に抵当権がついていないか、ついていても借入金の残高が少なく登記時にその残高を完済できることが条件になります。

 

一方、「アグリーメント・オブ・セールス」は、物件の引き渡し時には仮登記するだけで、所有名義は売主のままです。そして、買主は代金に利息をつけて分割で売主に支払い、一定期間後に残額をまとめて支払います。期間は3年から5年程度です。そして、全額が支払われた時点でもう一度、本登記を行います。

 

これは、買主が銀行から融資を受けられないけれど購入したい場合や売主が代金を一度に受け取ると税率が高くなるので分割して受け取りたい場合などに用いられます。

 

その他、「オプション取引」もあります。売主と買主がいろいろ条件をつけるもので、例えば買主が売主にオプションフィーをいくらか支払い、将来あらかじめ決めた金額で購入する権利をもらい、買主はそれまでの期間、家賃を支払って入居するといった契約です。

不動産を購入したら、現地の銀行に口座開設を

ハワイで不動産を購入する場合、必要な資金をその都度、日本からエスクロー会社の口座などに送金しても構いませんが、購入後には固定資産税や管理費などの支払いが現地金融機関からの口座振替で必要になります。また、賃貸すれば家賃の受け取りなども発生します。

 

そうしたことを考えれば、ハワイの銀行に口座を開設することをお勧めします。

 

アメリカでは政府が発行する社会保障番号がないと銀行口座の開設は難しいのですが、ハワイの銀行だけは日本人の旅行者でも簡単に口座を開設することができます。

 

通常、パスポートを持って支店窓口に行き、「口座をつくりたい」といえば手続きしてくれます。ワイキキの支店であれば、日本語も通じます。

 

手続きは簡単です。新規口座開設申込書、サイン登録用紙、インターネットバンキング利用登録用紙、アメリカ非居住者登録用紙などに必要事項を記入したり、サインしたりします。

 

手続きが済んだら、口座にいくらか入金しておきます。ハワイ滞在中は、銀行の支店やATMから入出金できますし、日本に帰国してからも銀行や郵便局から送金できます。また、インターネットバンキングを使えば、より簡単に入出金できます。

 

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冨吉 範明, タカ 河野

幻冬舎メディアコンサルティング

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