相続というものは、一般的にも大変なことですが、オーナー社長であれば、そこに事業承継という課題も加わります。後継者が思わぬ苦労に直面することを防ぐため、オーナー社長は現役のうちから、将来を見据えた準備を進めていくことが肝心です。

オーナー自身の「意思」を事業承継に反映させるには?

「まだ現役バリバリで働ける」と、事業承継の準備をしない場合、イザというときに起こりうるもっとも大きな問題は何か? それは、事業承継においてオーナー自身の意思が反映されないことです。
 

「大きく育てた会社を長男に引き継いでもらって、さらなる成長を」と願っても、何も手をうたないまま万が一、オーナー社長が亡くなってしまった場合、事業承継は「相続」というかたちをとることになります。

 

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その際、民法上の遺産分割によらなければならないため、100%の株式が後継者に受け継がれるとは限りません。たとえ遺言書を残したとしても、相続人には最低限の取り分を保障する遺留分の規定があるので、いずれにしても分散するリスクをゼロにはできないのです。
 
そこで考えるべきは生前贈与です。つまり「オーナーの目の黒いうち」に後継者以外の相続人にも配慮しながら、計画的に事業承継を進めること。そうすれば、オーナー社長は、指名した後継者に間違いなく株式を100%引き継がせることができます。

「いきなり相続」はこんなにハイリスク

何も準備をしないまま、いきなり相続が発生すると、相続する財産は相続税評価額で評価されるため、多額の相続税が課せられることになります。オーナー社長の財産の多くは自社株式が占めているので、会社が発展していればいるほど株価は高く、相続税は巨額になり、後継者は納税資金の問題に直面しなければならなくなります。
 

相続人である配偶者には4分の1、子ども2人の場合はそれぞれ8分の1が遺留分として認められているので、遺留分を侵害しないように法定相続分にしたがって各相続人に株式そのものを分割してしまうか、後継者が100%の株式承継を目指すなら、他の相続人に対して遺留分に見合う現金を用意する必要も出てきます。

 

なお、配偶者が相続財産の2分の1以内か1億6000万円のどちらか小さい額を相続する場合は、配偶者の税額軽減の特例によって税金を払わなくてよい制度がありますが、それでも近い将来、必ず配偶者から子どもへという二次相続が発生しますので、結果的にあまり節税効果は期待できないと考えておいてください。
 

こうした一連の遺産相続に関わる相続人の間の協議、遺留分に見合う現金を用意するための融資交渉や不動産の現金化など、後継者には事業承継直後から次々と難問が降りかかり、多大な苦労を背負うことになります。

 

その結果、経営への熱意も次第に冷めてしまい、最終的に承継そのものを放棄してしまう可能性もあります。そうなれば、オーナー社長が思い描いていた事業承継は、完全に破綻することになるでしょう。

 

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    本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『オーナー社長のための税金ゼロの事業承継』から抜粋したものです。2015年1月1日施行の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

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