今回は、「資本性借入金」についてさらに詳しく見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

弁済順位が低い、劣後債であるがゆえの高い金利設定

前回、「資本性借入金」の条件は、主に3つです、と申し上げました。

 

①「弁済順位が低い劣後性があること」

②「償還期間5年以上の一括返済であること」

➂「配当可能利益に応じた金利設定であること」

 

と、金融庁のマニュアルに示されています。

 

ここで改めて注目したいのが、

➂「配当可能利益に応じた金利設定であること」です。

 

少人数私募債を発行し3%~5%の金利を設定すると、

「通常の銀行金利に比べて、そんな金利は高すぎる!」

とおっしゃる税理士がおられます。

 

そのような方は、少人数私募債が、

通常の銀行借入とは資金調達の種類が違う、

ということを、理解されていないのです。

そもそも、「資本性借入金」など、ご存じないのです。

 

先に述べた➂の、

「配当可能利益に応じた」とは、

業績に連動していること、

と金融庁のマニュアルに記載されています。

 

これは、出資に対する配当と同じ考え方です。

出資に対する配当であれば3%~5%はおろか、

10%でもざらにあるのです。

 

なので、通常の銀行借入並みに、1%未満の金利ではかえって、

「そんな低い金利の資金調達は、資本性借入金とは言えない!」

となるのです。

 

弁済順位が低い、劣後債であるがゆえの高い金利設定、

でないと「資本性借入金」としての、

理由がたたなくなるのです。

業績悪化した場合を考慮し、金利は3%~5%に設定を

「じゃあ10%の金利でも、全然問題ありませんか?」

 

と言いたくなるかもしれません。

 

ただ、業績に連動している、ということへの配慮としては、

業績悪化の場合のことを考慮して、

3%~5%に設定している、とするのが望ましいのです。

 

少人数私募債を発行する際には、

「資本性借入金」を知らない税理士の言葉に惑わされず、

3%~5%の金利設定をしてほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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