今回は、家主として知っておきたい「犯罪に利用される物件」の特徴と防犯対策を見ていきます。※本連載では、徹底した現場主義で多くの賃貸トラブルを解決へと導いてきた太田垣章子氏の著書、『2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、「空室」「滞納」など様々な賃貸トラブルの予防策と解決法についてわかりやすく解説します。

犯罪者にとって好都合な「3パターン」とは?

賃貸物件を犯罪に使われてしまった相談者が増えてきました。振り込め詐欺や違法な荷物の受け取りアジトなど・・・。そんな物件を何棟も見ていると、ある共通点がありました。「死角が多い物件」「空室が多い物件」「管理の悪い物件」この3パターンは、犯罪者にとって好都合です。犯罪者は、とにかく顔を見られたくありません。また、仲間がたくさん出入りするので、それが目立つのも嫌がります。そのため、人目を避けやすい「死角が多い物件」「空室が多い物件」は、狙われやすいのです。

 

また、「管理が悪い物件」は、管理会社や清掃の人の出入りが少ないと思われて危険です。さらに、そのような物件に住む入居者は、汚いことにも不満を言わないタイプだから、ちょっとしたことでは通報したりしないだろう・・・と思われてしまいます。

 

その一方で、エントランス付近に管理人さんがいるようなタイプの物件は、まず犯罪に利用されません。このポイントが、これから紹介するトラブルを解決へと導きました。

犯罪に使われる要素が満載だった、ある物件の例

立て続けに物件を犯罪に使われてしまった家主さんがいました。警察から家主さんへ捜査協力の依頼があり室内へ入ると、薬物を使用する場所として使われていたようです。

 

気落ちされた家主さんからご相談を受け、物件へ行ってみると、そこは死角ばかりの建物でした。建物も古く、清掃を強化したとしても劇的に変わりそうにもありません。また、家主さんはご高齢で、物件にあまり費用をかけたくないようです。計6戸のアパートですが、半分しか埋まっていません。確かに犯罪に使われそうな要素がいっぱいでした。

 

2回目に物件を見に行ったとき、1階に住むご高齢のおばあちゃんとすれ違いました。おばあちゃんは、誰かと会話したかったのでしょうか。私を見つけるなり、色々と話しかけてこられます。年をとると部屋の外に出る機会が減ってしまうとか、何もすることがないとか、人から必要とされてないとか・・・。

 

そのときに閃ひらめきました!”物件のエントランスに、花を植えて、おばあちゃんにお手入れをお願いしたらいいので”と。家主さんの許可を得てから、花の件をおばあちゃんにご相談すると、その提案を喜んで引き受けてくださいました。「鉢でしか花を楽しめないのが物足りなかったのよね」と!

 

数か月後、犯罪のアジトになっていた物件のエントランスには、色とりどりの花が咲き誇り、半分しか埋まってなかった部屋も、エントランスの花効果で満室となりました。さらによかったことは、おばあちゃんに生きがいができたことです。花の手入れだけでなく、共用部分の掃除までしてくださっていました。

 

こうして物件は、古いながらもきれいになり、他の入居者は花の手入れをしているおばあちゃんと挨拶や言葉を交わすようになりました。おばあちゃんの姿を数日見かけないと、他の入居者から「おばあちゃんが病気になったのかも」と電話がかかってくるようになりました。この状態なら、高齢者の孤立も防げます。

 

もちろん、犯罪に使われることもなくなりました! 最終的におばあちゃんの共益費を3千円値引いてあげることになったのですが、それ以上の価値を生んだ工夫となりました。

2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド

2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド

太田垣 章子

日本実業出版社

アパート・マンション経営の多くのトラブルは「知識」さえあれば防ぐことができる! 15年間で2000件以上の問題を解決に導いた、現場を知り尽くした著者だからこそ書ける事例を紹介するとともに、賃貸トラブルの予防策・解決…

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