税金 節税
連載戦略的「節税」で資産を守る方法【最終回】

税金面から見た「小規模企業共済」のメリットとは?

小規模企業共済退職金契約書貸付

税金面から見た「小規模企業共済」のメリットとは?

中小企業のための積立型退職金制度「小規模企業共済」。金額規模は小さいものの、本制度を活用することによって得られるメリットは多々あります。今回は、この「小規模企業共済」の活用法について見ていきます。

年間最高84万円の掛金が全額「所得控除」の対象

中小企業経営者や個人事業主のためにつくられた、積立型の退職金制度があります。それが、中小企業基盤整備機構が運営している「小規模企業共済」です。この制度を利用して積立を行うと、会社の役員を退任したときや個人事業をやめたときなどに、積み立てた資金を共済金(退職金)として受け取れます。

 

退職金制度のない中小企業の経営者にとっては、後述するように非常にメリットの大きい制度です。金額規模が小さく、地味な存在ではありますが、対象となっている方には必ず加入してほしいと思います。なお、加入できるのは、従業員20人以下の個人事業主やその共同経営者、会社などの役員、一定規模以下の企業組合、協業組合、農事組合法人の役員などとなっています。


加入後は、毎月あるいは半年、1年払いで掛金を支払っていきます。掛金の最低月額は1000円で、最高月額7万円まで増やすことができます。年間では最高84万円となる掛金が全額所得控除の対象になるのが、この制度の第1のメリットです。個人の確定申告対策としても非常に有効です。

 

また、中途解約も可能です。ただし、短期間で解約してしまうと、掛金を下回る金額しか戻ってきません。そこで、もし急に資金が必要になった場合は、解約ではなく契約者貸付制度を利用するのがお勧めです。掛金を12カ月以上払い込んでいて、貸付限度額が10万円に達している場合には、納付額に応じて掛金の7~9割を借りることができます。

 

解約をしないほうがよい理由は、もうひとつあります。この制度の仕組み上、契約を続けてさえいれば、将来的に支払った額以上の共済金を受け取ることができるのです。そのため、契約し続けたほうが絶対有利だといえます。

 

もし、現在の掛金を払い続けるのが難しくなった場合には、掛金を減額して続けるとよいでしょう。掛金は500円単位で、最低1000円まで減額することができます。掛金に対して100%の解約手当金を受け取るには、納付月数が20年(240カ月)を超えている必要があります。

共済金の約半分は非課税で受け取りが可能

一般的に、掛金を支払う際にその掛金の全額が所得控除の対象になるような制度では、お金を受け取る際には収益と見なされ課税対象となります。小規模企業共済も課税はされるのですが、非常に有利な税制になっているのがほかとは違うところです。これが、小規模企業共済の第2のメリットです。

 

具体的には、支払われる共済金は退職金と同様に扱われます。つまり、受け取った金額の約半分は非課税となり、残り半分にしか課税されません。また、退職所得扱いになるため、他の所得と合算されることもありません。分割で受け取った場合には雑所得になりますが、この場合は公的年金控除が適用されます。

 

小規模企業共済で貯められるのは、最大でも年間84万円です。しかし、30年続ければ掛金だけで84万円×30年=2520万円になります。退職金制度がない中小企業の経営者にとっては、これは退職金の「基礎部分」と考えてもらうとよいのではないでしょうか。この制度を使って退職金の基礎を固めた上で、残りの退職金については貯蓄や生命保険など、ほかの方法を使って貯めていけばよいのです。

本連載は、2013年2月4日刊行の書籍『戦略的「節税」経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

越田 学

税理士法人K・S・D 代表社員

平成元年、明治大学政治経済学部を卒業、野村證券に入社。同社を退社後、平成6年に税理士事務所に勤務、会計人としてのキャリアをスタートさせる。平成19年、石川県金沢市にて越田税理士事務所を開業。以来、提案型会計事務所を標榜し、節税対策を絡めた自社株対策、相続・事業承継対策、決算対策など、コンサルティング活動を行う。平成23年には個人事務所を税理士法人K・S・Dへと法人組織化、併せて港区北青山に東京事務所を開設する。また、主要都市でのセミナーを精力的に行うなど、全国各地で活動の場を広げている。

著者紹介

連載戦略的「節税」で資産を守る方法

戦略的「節税」経営

戦略的「節税」経営

越田 学

幻冬舎メディアコンサルティング

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