2017年、スリランカの経済成長率が4%を下回りました。スリランカ中央銀行が発表した2018年の金融政策について、現地スリランカの報道をお伝えします。

「人為的な成長率の引き上げは行わない」と表明

スリランカの経済成長は、インフレと国際収支危機を引き起こす赤字財政支出や金融緩和ではなく、改革から来るべきだとクマラスワミ・スリランカ中央銀行総裁は述べた。

 

「2017年、スリランカの経済成長率が4%を下回ったというのは非常に残念だ。絶対に避けなければならないことの1つは、マクロ経済政策を不適切な方法で緩和し成長率を引き上げようとすることだ。これは、過去に何度も何度も取り組んだことだ。不適切な財政や金融政策によって、人為的に成長を後押しすることで、必然的に経済が過熱し、多くの場合インフレと国際収支危機の両方が起こる。それが、スリランカ経済が今までに繰り返したサイクルだ。しかし今回は、不適切なマクロ経済政策によって人為的に成長率を押し上げることはしないと決めている」とクマラスワミ総裁は述べた。

 

中央銀行による財政赤字に対応しているかどうかにかかわらず、ペッグ制では、高い経済活動が起こり、外貨準備が縮小し国際収支危機が発生する。利上げが可能になり信用収縮した場合、利上げ後の準備積立金の再構築を鈍化させるが、資本流入が迅速に再開されれば緩和することができる。

 

2017年のスリランカは干ばつに加え、2015年のケインズ理論による経済刺激策の悪影響から肥大化した予算と、中央銀行による6億3000万ルピーもの乱発した紙幣により、外国為替準備金の40億米ドルを失った。

 

通貨価値の下落が継続し、インフレ率を高めて可処分所得を減らし続けると、経済刺激策の影響は悪化する可能性がある。資本流入が速やかに再開すれば緩和することが可能だ。財政赤字のいわゆる歳入ベースの削減は、国の生産性が低いため、支出を削減し一般の人々の所得を増やすことに比べ、成長を遅らせることになる。

インフレ目標の設定値を問題視するアナリストたち

一方、中央銀行の試算によれば、潜在成長率は約5.75%で、4.0%の成長率は産出ギャップを示している、とクマラスワミ総裁は述べた。

 

「改革を進める中で、いくつかの政策を維持し成長率を上げたい。それこそが、やらなければならないことだ。持続できない近道を通ることではない」と述べた。

 

アナリストらによると、中央銀行は実質的に政策を厳しく維持しながら(量的引き締め)、ドルの不胎化介入を行っている。幅広い金利コリドーのため、利下げ自体は行われていないが、オーバーナイト金利は、ドル購入から信用が減速し流動性が高まったため、政策金利の底に向け100ベーシスポイント以上下落した。

 

「修正されたインフレ目標設定制度は、財政赤字を埋めるために(財政支配の)紙幣を刷るよう圧力をかけられなくなるように、中央銀行に独立性を与えることを目的としている。過去には(金融政策の)財政支配があった。多くの金融政策は、財政の怠慢に対応していた。中央銀行は多くのお金を印刷し、赤字を収益化した。我々はそれを打ち破り、フォワード・ルッキングな金融政策を行おうとしている」とクマラスワミ総裁は述べた

 

アナリストらは、財政支配があったことは事実であるが、度々起こる国際収支危機や高いインフレは、管理為替レートやペッグ制を採用しているのにもかかわらず、高すぎるインフレ目標やコアインフレ目標の設定を行っているためであるという。

 

2018年の予算で、政府は2015年と2016年の大失敗を教訓に一連の改革を発表した。輸入関税も削減されており、自由貿易協定も調印中だ。

この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2018年1月24日に掲載した記事「Sri Lanka's growth has to come from reforms not money printing: CB Governor」を、翻訳・編集したものです。

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