基本合意の段階で、「話が違う」という内容が出てくれば、売買金額が低下することになります。ここでは、資産内容を左右するようなケースについて、想定される事例と対処方法についてご紹介します。

基本合意から最終契約までの間に条件は変化する

基本合意は、あくまで「いくらくらいで、いつごろ、どのような条件で」売買するかを定めたものです。そのため、買い手が売り手の資産内容などを精査した結果、「聞いていた話とは違う」という内容が出てくれば、売買金額が低下したりすることもよくあります。 
 
売り手としては、最終契約と基本合意契約の内容が大きく変化しないようにするためにも、基本合意に至るまでの交渉の間に、資産の中身をよく調べ、必要に応じた対策をしておくことが大切です。 
 
もっとも、優秀なアドバイザーと相談して、厳しい目で資産内容などをあらかじめチェックしていた場合、買い手から明らかな不備を“突かれる”心配はさほどないでしょう。

キーマンの退社は極力防ぐ

先にも少し触れましたが、人が流出してしまうことで、売り手の会社の価値が半減してしまうことがあります。例えばIT企業での優秀なエンジニアやプログラマーなどです。 
 いわば人が資産といったこのような例では、基本合意契約後に、キーマンが会社を去ってしまうことで、買い手企業が感じていた魅力も半減してしまうのです。 
 
また仮にキーマンではなくても、売却話を聞きつけたスタッフの一定割合が不安感から辞職してしまうというようなケースでは、そもそも事業継続が困難になります。このような場合も、やはり交渉ブレイクの要因になることもあります。 
 仮にブレイクは免れても、結果として基本合意で取り決めた売買金額が大きく下がってしまうような結果になってしまいます。 
 
このような事態を避ける意味でも、一般に社内に告知するのは、最終契約の前日~当日が望ましいといえます。 
 
なお、基本合意契約には、金額や各種付帯条件のほかに、デューデリジェンスの日程や最終契約日のメドなど、M&A終了に向けた具体的なタイムスケジュールなども記すことが一般的です。 
 
基本合意契約は、法的拘束力が発生することがほとんどであり、売り手と買い手が真剣にゴールを目指すという約束になるのです。 

 

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本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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