今回は、凄腕トレーダー通称“YEN蔵“氏が、優良銘柄より新興市場に注目する理由を解説します。※本連載では、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役 林知之氏の著書『凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ』(マイルストーンズ)から一部を抜粋し、普段は表舞台にあまり出ることがない凄腕ディーラーたちに林知之氏が直接インタビューして聞き出した、株式投資で勝つためのリアルな「相場哲学」を紹介します。

業績変化ではなく、ビジネスモデルの将来性などを吟味

─YEN蔵さんの株のトレードについても聞かせてください。

 

はい、為替の世界にいると〝資金の動き〟という感覚から、ほかのマーケットに入りやすいと感じますし、実際、1990年ごろから株式市場にはなじんでいます。働いていたシティのストックオプションも持っていましたし。

 

為替ディーリングの合間に個人的に株式市場を見ていた、なんて時期もありました(笑)。

 

だから日本の株式市場は、個人投資家の立ち位置から見てきましたね。株価指数先物とオプションが導入された当時、日本の大手証券が意味のない基準をつくった様子も見ていました。

 

オプションを買う人にも2000万円だか3000万円を預けろ、なんて言っていましたよね。オプションのことを何も知らずに営業していたんでしょうかねぇ? 不思議でしたよ。

 

それはともかくとして、けっこう長期に保有している銘柄もあるんです。

 

─目先の売り買いではなく?

 

資産形成の感覚で、きちんとファンダメンタルズを見て選びます。足元の業績変化とかではなく、ビジネスモデルの将来性などを吟味するのです。うまくいって、数倍になった銘柄もあります。

 

でも、動きを見ながらポジションを増減させる場合もあります。大きなトレンドに乗りながら、その中の上げ下げを狙って売り買いもする、という感じですね。

 

─先ほど、「値の軽い銘柄」という言葉がありましたが

 

マーケットの魅力って、そういうところじゃないですか。為替はチャンスがあれば毎日のように細かくトレードしていますが、株は大きく居所が変わる場面がありますから、そういう動きを狙いたいんです。

 

全体的に見ても、例えば80年代のバブルは特別だとしても、2000年のITバブルとか、結局は数年に一度大きな動きがあるので、それだけでも魅力的です。特に新興市場は面白いですね。

機関投資家が相手にするような「大型株」は避ける⁉

─新興市場って、流動性が低くてやりにくくありませんか?

 

大きく上がるといっても、何十倍にもなるような銘柄を必死になって発掘するわけではありません。ですから新興市場でも、きちんと出来高がある銘柄を選びますし、ダメだったときに逃げることを考えて数量を調整します。トレードするうえで当然の、マネーマネージメント(資金管理)をベースにした対応です。

 

それに、取れないときにやっても損をするだけですから手を出しません。個人投資家のアドバンテージ(優位点)は、必ずしもポジションを持つ必要がないということです。

 

もちろんポジションがない、その動きに参加しないという状態は、毎日の値段を見てちゃんと相場を追いかけているからこそ実現することなのですが。

 

─そういうマネジメントを、時間で考えますか?

 

いや、「3割くらいの値上がりはほしい」というイメージを大切にしています。

 

林さんが日柄を強調するのと実は同じ効果を生んでいるのかもしれませんが、数円でもいいと考えてバタバタとトレードするよりも、「3割」って数字を目安にじっくりと取り組むのが正解だと考えます。やたらと売ったり買ったりしなくてもいい、ってことになるじゃないですか。

 

もちろん新興市場にこだわるわけではなく、東証一部の銘柄も対象にします。要は、機関投資家が相手にするような大型株を避けるという考え方です。

 

東証に上場している約3400社(当時)のうち1000社に満たないくらいの銘柄についてはアナリストが細かく分析した情報が存在していますし、世界中が見ているわけです。

 

こういったブルーチップ銘柄、つまり誰もが優良銘柄と呼ぶ銘柄群は、どうしたって割高です。だから利益を出すためのトレードとしては、簡単に言ってしまえばカラ売りしかないんです。

 

でもそれ以外の約2500社は、プロが見ていないと言うと極端ですが、ブルーチップのように常に割高ということもないから、一般的な個人投資家やプロ、セミプロが買い戦略で利益を狙える素地があるはずです。

 

─全く同感です。

 

そういう考え方で銘柄を選んでいくと、新興市場はとても魅力的なんです。

 

林さんが紹介している「うねり取り」は安定した銘柄の自律的な上げ下げを狙うので、対象外になるのでしょうが。

 

それに、以前とちがってIR※がしっかりしてきているので、個人投資家でも新興市場に上場している会社の社長に会う機会があるじゃないですか。

 

もちろん社長が素晴らしいという理由だけで株は買えませんが、産業として有望、企業として将来性がある、といった視点で株を買って利益が期待できる、あるいは小規模な会社を経営するワンマン社長の力と株価を結びつけることができるのは、少なくともブルーチップ銘柄ではありません。

 

※IR

「Investor Relations」(インベスター・リレーションズ)の略。経営や財務の状況を投資家向けに発信する活動。新興市場上場の会社では、安定株主を増やすために会社説明会を開催するケースも多い。

本連載は、林知之氏の著書『凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ』(マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ

凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ

林 知之

マイルストーンズ

相場で生き抜くための知恵と戦術。ほんとうに相場で生計を立てている人のホンネ、表舞台にあまり顔を出さないスゴ腕ディーラーたちの相場哲学を凝縮した「珠玉」のインタビュー集。

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