今回は、東日本大震災で全国的に発生した「供給ショック」とは何かを探ります。※本連載では、SMBC日興証券株式会社のシニア財政アナリストとして活躍する宮前耕也氏の著書、『アベノミクス2020―人口、財政、エネルギー』(エネルギーフォーラム)から一部を抜粋し、人口や財政、エネルギーの観点から日本経済の課題を考察します。

経済活動の停止や計画停電等、震災で日常生活が一変

東日本大震災により、日本は混乱状態に陥りました。東北地方を中心とした被災地では、多くの人命が失われるとともに、多くの方が避難生活を余儀なくされました。オフィスや工場、店舗などが被災し、インフラ網も寸断され、経済活動がストップしました。

 

また、福島第一原子力発電所の事故や火力発電所などの被災により、東京電力エリアでは、十分な電力供給が確保できず、計画停電が実施されました。福島第一原発事故の影響で、一部の農水産物が敬遠される風評被害も発生しました。

 

また、被災地から遠い地域でも、自粛ムードで消費が冷え込みました。ここには挙げきれないほど、多くの方の生活が一変し、経済活動も多方面で大きな影響を受けました。

モノ・サービスへのニーズに応えられなくなった企業

東日本大震災は、日本経済にさまざまな影響を与えましたが、その状況をあえて一言で表すとすれば、それは「供給ショック」でしょう。

 

モノ・サービスに対するニーズ(需要)があっても、供給が足りない、すなわち企業がニーズに応えることができない状態に陥りました。オフィスや工場、店舗が被災した場合、活動休止を余儀なくされました。また、直接的な被害が軽微であった場合でも、商品や部品、ガソリンなどの物資が確保できないケースもありました。

 

東京電力エリアでは、計画停電が実施され、電車が動かず出勤できない、工場の操業を休止せざるを得ない、あるいは店舗でも自動ドアが開かずレジも止まる、といった具合で開店休業状態に陥りました。

 

エネルギー源を含め、企業活動に必要なさまざまなモノが不足し、その結果、世の中全体がモノ不足に陥りました。

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