今回は、ドライアイで「目の充血」が改善しにくくなる理由を見ていきます。※本連載は、医療コミュニケーションの研究とともに、患者さんへ病気の知識をわかりやすく伝える活動を続けている眼科専門医・平松類氏の著書『本当は怖いドライアイ』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、ドライアイの基礎知識と対処法をご紹介します。

目を酷使すると「充血」が起こるが・・・

ドライアイによる充血はしつこくずっと残っています。なぜドライアイにより充血がでてくるのでしょうか?

 

ドライアイになると涙がないために目に傷がつきます。涙が多ければ涙で傷を覆って治してくれますがそれもできません。困った目は何とか傷を治そうとしてくれます。どうやって治そうとするかというと、白目の血管から黒目のほうに向かう血流を増やして、傷を治すための栄養を流します。そのため、血管に流れる血液の量が多くなって充血するのです。

 

徹夜した後や、たくさん目を使った後は鏡を見ると充血しています。無理に目を使い過ぎて結果としてドライアイが起こってきているのです。ということは充血=悪者ではなくて、充血する原因自体をとらなければいけません。

 

 

「充血をとる薬」というのは市販でありますがこれに頼ると大変なことになるのです。充血は確かにとれる。一方で黒目を治す力が弱くなり、黒目の傷が広がってしまう。そうすると充血はさらにひどくなり、また充血をとるお薬を点眼する。これを繰り返していくと結果として充血も傷もわるくなっていきます。本当は市販の目薬には「長期使用して治らなければ眼科で相談」と説明書に書いてありますが、字が小さくてたいていの人は読んでいません。

 

その結果本当に充血がひどくなってから受診することになります。数カ月、ひどいときは年単位でできた充血のため、それを治すにも同じくらいまたはそれ以上の期間を必要としてしまいます。

 

さらにわるいことに、このように充血を無理やりとってしまったり、充血しても治らないくらいの傷がずっと残っていたりすると黒目が小さくなります。なぜでしょうか? それは黒目を治そうと白目から血管を生やしてのばしてくるためです。そのため結果として黒目が小さくなってしまうのです。

ドライアイで「目の開き」が悪くなる!?

またドライアイがあると〝目が小さくなって〟しまいます。でもあなたが「私の目が小さくなっちゃったんです」と言っても医者は聞いてくれません。「何を言っているんですか? 全然小さくないですよ」と言われてしまいます。

 

医者が言う「目が小さい」とは、一般的な意味とは違います。一般に言う「目が小さい・大きい」というのは、例えば「あの女優さんは目が大きいけれど、私の目は小さい」というような使い方です。それは他人から見て「まぶたが大きく開いている」=「目が大きい」、「まぶたの開きが大きくない」=「目が小さい」ということです。つまり目がぱっちり開いているということです。

 

一方で医者が言う「目が小さい」というのは、「目の玉が小さい」ことをいいます。目の玉は平均的には直径が24ミリぐらいです。近視が強いとこの直径が長く、遠視が強いと直径が短くなります。目の玉の直径が短いことを「目が小さい」と医者は言うのです。だからあなたの目が小さくなったと感じたとき、医者に対しては「目の開きがわるくなった気がする」という表現のほうが伝わります。

 

では、なぜドライアイになると目の開きがわるくなる(目が小さくなる)のでしょうか? それは目をしっかり開けようとすると目が乾いてしまうからです。ドライアイがよくなって目の渇きがなくなれば思い切って目を開けることができます。結果として目がぱっちりみえるのです。

 

つまりドライアイがよくなると自分が楽に過ごせるだけではなく、人に与える印象までよくなるのです。それまでついついしかめ面で見ていたものが目をぱっちり開けて見れるようになるので、明るく楽しい印象になります。さらに充血もとれてくるので、疲れている印象や年をとっているかのような見た目の印象を改善してくれるのです。

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