前回は、医療・介護現場で利用者との向き合い方に悩んだときの対応策を紹介しました。今回は、医療・介護従事者尊重すべき、利用者の「ライフ」「リビング」について見ていきます。

ただ命があればいいということではなく・・・

医療・介護従事者にとって、その患者さん・利用者さんの疾患や体の機能などを見ることは当たり前。だけど、それ以上にその人の「ライフ」「リビング」をみることが大事なんだよと私はよく言います。口を開けば言ってるかもしれない。

 

直訳すれば命や生活ということになりますが、どうも日本語ではしっくりきません。ただ命があればいいということではなく、その人にとっての有形無形の大切なものが大事にされていて、その人らしく日常を生きられることが重要。そういう意味合いも含めて「ライフ」「リビング」が大事と言っているわけです。

 

もちろん病院や介護施設などにその人がいることは、本来、その人の人生にとっては「非日常」です。けれど、病院が非日常と割り切れない時代になっています。昔のように自宅で最期を迎えることのほうが普通ではなくなっているのですから。

 

今は、入院だけでなく在宅や通所も含めて病院と長く付き合う時代。ある意味でその人の生活の一部になっていると言えるかもしれません。つまり病院などで過ごすことも「生活」なのですから、そのライフやリビングが無機質なものでは寂しいじゃないですか。

 

患者さん・利用者さんがいる場所がその人の人生の一部。そこで友達ができたり、あるいはスタッフとも仲良くなって人間関係ができたりということだって珍しいことではない。

 

そんなふうに私たちの病院や施設がなるとは最初から思っていませんでしたが、それも自然なことだと思うのです。

病院にいる時間も「その人の人生の一部」

もちろん、患者さん・利用者さんが自立していけるようになるのがいちばんいいこと。そのために何ができるのかはとても大事です。

 

でも、必ずしもみんながすぐに自立できない。そのとき、病院にいる時間もその人の人生の一部として、楽しく生きるというのは決して悪いことではありません。

 

こういう考え方は「仕事は仕事」と割り切っているとなかなかできないのかもしれない。だけど人間相手の仕事には割り切れないものが何か残るものです。仕事は仕事なのだけれど、単なる仕事じゃなくやること、やれることがある。

 

専門職のスタッフだけでなく事務のスタッフも含め、私たちはそれを大事にしたいと思っているのです。

医療・介護に携わる君たちへ

医療・介護に携わる君たちへ

斉藤 正身

幻冬舎メディアコンサルティング

悩める医療・介護従事者たちへ、スタッフ900人超を抱える医療・社会福祉法人の理事長が送る「心のモヤモヤ」を吹き飛ばすメッセージ! 日々、頑張っているつもりだけどなぜか満たされない、このままでいいのかと不安になる…

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