前回は、不動産投資による「後悔しない相続税対策」のポイントについて取り上げました。今回は、アパート経営とマンション経営では、どちらが財産評価を下げやすいのかを見ていきます。

相続対策では「土地の評価」が重要なポイント

◆アパート経営とワンルームマンション経営の比較◆
 

①相続税対策における最重要課題「財産評価」を下げやすいのは?


相続税対策において最重要課題は、相続税評価額を下げることです。なぜなら、そのままの財産評価額では、多額の相続税が課税されてしまうからになります。本書の第2章で相続税対策に有利な資産は、貸家であると説明しました。

 

貸家建付地の場合、借家権割合に応じて30%程度の控除を受けることができます。こういった控除の特典を使えることが、貸家を活用した相続税対策のメリットです。

 

それでは、アパートとマンションどちらが相続税対策に有利かと問われれば、財産評価を下げやすいという意味でマンションに分があります。なぜなら、相続税対策において土地の評価は重要なポイントで、土地の持ち分が少ない物件を所有することが土地の評価額を下げる最善の方法であり、有利な相続税対策を進めるにあたり重要だと言えるからです(図表参照)。

 

[図表]

有利なのは、土地の持ち分が少ないマンション

わかりやすく言うとアパートの場合、土地の所有権がほとんどのケースでオーナー1人ということになります。しかし、マンションの場合、マンションが建っている土地は所有者全員の共有持ち分です。マンションの場合、土地は土地付き建物として土地と建物が一体化した敷地権という権利を所有することになり、土地の持ち分は専有面積に応じ比率を按分し、按分した土地分が所有者全員に所有権として与えられます。

 

つまり、土地のすべての権利を所有権としているアパートに比べ、土地の上に高い建物が建っているマンションの方が土地の持ち分が圧倒的に少ないため、土地の評価がかなり抑えられ相続税対策には有利だということです。

 

第2章で説明したように、アパートの場合、2億円の土地に対してアパートを建てた時の土地の評価額は1億6000万円前後でした。割合に直すと更地をアパートにすることによって土地の評価額が80%になったということです。アパートを建築しても借金をしなければ、貸家建付地の1億6400万円とアパートの評価額4200万円の合計2億600万円が相続税評価額です。つまり、アパートは借金をすることによって、初めて大幅に相続税評価額を下げることが可能になります。

 

アパートの場合、土地の相続税評価額があまり下がらないこともあるため、借り入れをすることで相続税対策をすることが多いのですが、土地を持っていてアパートを借り入れで建築しすぐに相続が発生しない場合、収益が出ることで逆に資産が増え相続税対策にならないケースもあります。これが、日銀が懸念している相続税対策にならない、相続税対策の事例です。

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    幻冬舎メディアコンサルティング

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