前回は、アパートとマンションでは、どちらが財産評価を下げやすいか検証しました。今回は、相続税対策で「ワンルームマンション投資」が有利な理由を見ていきます。

建築当初の節税効果はアパートが一番だが…

図表は、建物の評価が約4000万円で、1億円を金利2%・30年返済で借り入れしアパートを建築した場合のイメージ図です。

 

[図表]

 

返済が進んでいくと、借入残高は減少しますが、建物評価は借入残高ほど大きくは下がりません。しかし、借入残高は減り家賃収入は蓄積されていきますので、節税効果どころかプラスに転じる可能性も十分にあり得ます。

 

このように超低金利下にあっては、概ね15~20年間で債務超過は解消されてしまうのです。そのため、ハウスメーカーの営業マンは、債務超過が解消されるタイミングで大規模修繕を行い、借り入れを増やし建物の価値を上げましょうという提案をしてきます。節税効果だけを考えれば、建築した当初の節税効果が一番高いことが、借り入れを行ったアパート経営の特徴です。

 

つまり、何歳まで生きるかわからないといった状況下で、借り入れを行いアパート経営する相続税対策は必ずしも効果的とは言えません。すぐに相続が発生しないと、メリットは最大化されないということです。さらに、借り入れをした時点でその資産は、相続という選択肢に収まってしまい、生前贈与のメリットを活用することもできなくなります。

 

一方で、タワーマンションやワンルームマンションの場合、相続税評価額を売買価格の20~30%前後に抑えることができました(売買価格によって相続税評価額の割合は変わります)。相続税対策を行うとき、借り入れをすることに抵抗を持つ人も当然いるはずです。マンションを選択すれば借り入れをせずとも、相続税評価額を大幅に下げることは可能になります。そして、借金をすることで、さらなる相続税評価額の減額にも成功することでしょう。

土地の持ち分が少なければ、相続税評価額は下がる

相続税評価額を下げやすいマンションとは、一般的に容積率の高いマンションです。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合で、「容積率=延床面積÷敷地面積」で計算されます。都市計画区域内においては、建築基準法の規制により用途地域の種別や前面道路の幅員等により容積率の上限が定められているのです。容積率500% と定められた地域であれば、100㎡の土地には床面積の合計で500㎡までの建築物の建築が可能となります。

 

敷地面積100㎡で延床面積が500㎡の場合(容積率500%)、土地の持ち分は延床面積1㎡に対して0.2㎡です。これが、敷地面積100㎡で延床面積が800㎡の場合(容積率800%)、土地の持ち分は延床面積1㎡に対して約0.12㎡になり、容積率500%のマンションに比べ土地の持ち分割合は少なくなります。土地の持ち分が少なければ、土地の相続税評価額は下がるため、相続税対策には断然有利なのです。そのため、相続税対策にはタワーマンションや、容積率の高い通称ペンシルマンションと呼ばれている、土地に対して細い建物が建っているようなワンルームマンションが有利になります。

 

高い容積率が設定されているのは、一般的に商業地域がほとんどです。商業地域とは、商業機能をもつ施設が集まっている所で、商店街、都市内部の商業地区、商業機能を主とする都市や集落の集まる地域で、その他にもその範囲に応じてさまざまな用途地域の区別がみられます。都市内部の商業地区は都心に位置することが多く、周辺の工業地区や住宅地区と対立する構造になっているのです。商業地域は都市郊外の主要道路沿いに位置することもあり、自動車関係の商業地区や流通センター、ショッピングセンターなど自動車時代に対応した新しい商業地区も形成されています。

 

利便性の高い都市計画地域である商業地域に物件を所有していれば利便性が高いが故に賃貸の需要も高く、相続税評価額を下げるメリットと収益性を確保しやすいというメリットの双方が享受されるでしょう。そのような理由から、ワンルームマンションはアパートに比べて相続税評価額を下げやすいと言えます。

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    仲宗根 和徳

    幻冬舎メディアコンサルティング

    平成27年1月に相続税の改正が実施され、相続税対策への関心も非常に高まっている中、相続税対策の実用書も数多くあります。 しかし、「相続税評価額を下げることだけを書いてある書籍」や「相続、贈与を詳しく書いた百科事典…

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