病院経営を苦しめる「治療の未収金」という大問題

前回は、高額な最新医療機器を導入せざる得ない病院の事情を取り上げました。今回は、病院経営を苦しめる「治療の未収金」の現状を見ていきます。

1ヵ月で10億円超!? 驚くべき厚労省のアンケート結果

少し古いデータですが、厚生労働省が2844病院を対象に実施したアンケートでは、2007年12月分だけで全国の706病院に、治療費を回収できない「未収金」が総額10億2271万円も発生していました。

 

内訳は入院が約8億5399万円、外来が約1億6872万円。1施設当たりにすると入院が約121万円、外来が約24万円。1件当たりだと入院が約12万円、外来が約1万円という状況です。

 

治療費を回収できない理由では、「分納中・分納交渉中」(件数ベースで全体の16.6%)が最多でしたが、生活困窮者が10.6%のほか、そもそも支払う意思がないケースも9.5%と多く、根が深そうです。

 

ここで紹介したアンケートは古いものですが、その後も状況は良くなるどころか、むしろ深刻化しています。

入院期間が短い医療機関は、未収金の発生率が増加傾向

厚生労働省が2012年10月から2013年2月にかけて全国7074病院を対象に実施したアンケート(有効回答率15.1%)によると、2011年度末時点の1病院当たりの未収金は5281万2000円。

 

2010年度は4813万5000円、2009年度は4759万7000円だったので年々増加していることが分かりました。同省では急性期病院のように入院期間が短い医療機関で未収金の発生が多くなる傾向があると指摘しています。

 

しかし、日々の生活にすら困っている人から治療費を取り立てるのは、医療関係者にとってはつらい仕事です。緊急搬送されてきた患者を支払い能力がないからと、治療しないわけにはいきません。未収金の問題は法律の問題でもあり、これを医療機関のみの負担にさせるのではなく、公的負担も考慮してほしいと思います(自治体によっては外国人患者の未収金に対する補塡あり)。

本連載は、2017年5月30日刊行の書籍『病院崩壊 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載崩壊への道を突き進む…日本の病院の実際

医療法人中央会尼崎中央病院 理事長・院長

医学博士。1930年生まれ。
1955年に大阪大学卒業後、フルブライト交換留学生として訪米。
インターン外科レジデントとして5年間米国留学。
帰国後、1965年より大阪労災病院にて外科医として勤めた後、1975年からは大阪厚生年金病院(現・JCHO大阪病院)にて外科部長として勤務。
1985年、叔父の経営していた医療法人中央会尼崎中央病院理事長・院長に就任。
その後も全日本病院協会常任理事・監事、日本医療機能評価機構評議員、兵庫県私立病院協会(現・兵庫県民間病院協会)理事・副会長などを歴任。
日本外科学会専門医、日本外科学会指導医、日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医、麻酔標榜医。

著者紹介

病院崩壊

病院崩壊

吉田 静雄

幻冬舎メディアコンサルティング

病院が姿を消す!? 2025年を目前に高まる医療需要だが病院経営は逼迫し、医師の偏在は止まらない・・・ 今、病院に何が起こっているのか? わが国の医療のあり方については、かねてより議論がなされてきました。 しかし、…

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