銀行との個人保証外しの交渉…財務局の意外なサポートとは?

今回は、銀行との個人保証外しの交渉の際に、財務局からの意外なサポートを受けた例を紹介します。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

銀行借入時の個人保証について、財務局に問い合わせ

前回の続きです。

 

金融庁は銀行に対し、
“保証に頼る融資から脱却せよ!”
と、大きく声を上げています。
が、銀行と中小企業の交渉の現場では、
いまだそんなことはおかまいなしの、
仁義なき銀行交渉が、繰り広げられているのです。

 

新規融資に対し、
“個人保証と担保がないと貸せないですよ。”
“それがなしで融資できるのは、上場企業だけですよ。”
と、銀行はかたくなに態度を変えませんでした。
そこで、“一度、財務局に聞いてみようと思います。”
と銀行に言うと、通常は、
“いやいや、ちょっと待ってください!”
となります。ところが、
支店長の強気の表れか、無知なのか、“どうぞ”と言われました。
となれば、実行するまでです。
しかもなんと、財務局の電話番号まで、教えてくれたそうです。
交渉の言葉として財務局を持ち出すことはあっても、
実際に連絡するケースは、少ないです。

 

交渉担当の経営者は、地域管轄の財務局へ電話をしました。
“銀行借入のときの個人保証のことでお電話しました。”
というと、すぐに担当者に代わったそうです。
経営者いわく、“腰の低い丁寧な対応でした。”だそうです。

 

そこで実情をお伝えするわけですが、
まず聞かれるのが、
会社名、所在地・連絡先、代表者名、交渉担当者名と役職、
続いて相手方の銀行の名前、支店名、支店長名、担当者名、
その銀行からのこれまでの融資の有無、などです。
で、個人保証と担保を要求されている状況をお伝えします。
その途中で、総資産額、自己資本比率など、
財務状況が質問されたそうです。

「中小企業の生の声」を待ち望む財務局

“個人保証と担保なしで融資するのは、
上場企業だけですよ、といわれました。”と言うと、
“それはありえないですねぇ…。”と返答されたそうです。
“それはどなたが言ったのですか?”
“〇〇支店長です。”
といったやりとりが続きました。

 

“わかりました。では最後に内容を確認させていただきます。”
となり、明らかに、
その場でデータ化されている様子、だったそうです。

 

“ではこの内容で、クレームとして対応いたします。”
“えっ、あっ、そうなんですか。わかりました。”
経営者は、ちょっと問い合わせるだけ、
くらいの感覚で考えていたので、
クレームと言われてとまどったものの、まあいいか、と思ったそうです。
財務局の担当者は、最後にこう言ったそうです。
“この内容で、銀行にはクレームとして一週間以内に連絡いたします。
 ただ、銀行の対応が変わるかどうかはわかりません。
 このたびは情報を提供いただき、たいへんありがとうございました。”

 

そうです。
財務局は、中小企業の生の声を、待ち望んでいるのです。
財務局は、金融庁の方針に基づいて動く、各地域の実行部隊です。
「担保・個人保証に頼る融資をやめさせろ!」
が、現金融庁の方針です。
で、「そのため、中小企業にヒアリングして、実態把握せよ!」
が、方針実現へ向けての、金融庁から各財務局への指示です。
しかし、突然そんなことを言われても、財務局にはノウハウもなければ、
中小企業とのコネクションもありません。
ホームページに、“みなさまの声をお待ちしています。”
と掲載する程度です。困っているのです。
そこへ、実態を伝えてくれる経営者がわざわざ電話をくれた。
財務局にとっては、願ったり叶ったり、なのです。

 

その翌日、銀行から経営者に連絡が入りました。
 

(続く)

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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連載経営者必読!融資を勝ち取る銀行交渉術

株式会社アイ・シー・オーコンサルティング 代表取締役

昭和40年 大阪府生まれ。

平成元年 関西大学卒業後、兵庫県の中堅洋菓子メーカーに入社。経理、総務、人事、生産管理、工程管理、広報など、主たる管理部門で実力を発揮。

平成17年 株式会社アイ・シー・オーコンサルティングに加わり、経営指導業務を開始する。
以降、長年の現場実務経験と、師匠である井上和弘(アイ・シー・オーコンサルティング会長)の《井上式経営術》を武器に、日々、中小企業の黒子としての経営指導に邁進している。

指導実績:財務改善、税務・銀行対策、労務問題改善、経営企画、管理会計、IT・システム化、事業承継など。
また、日本経営合理化協会主催「後継社長塾」(塾長:井上和弘)、に塾長補佐として参加し、後継社長の育成にも尽力している。

著者紹介

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

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