グローバル化が進むベトナム・・・外国企業による投資の現況は?

前回は、2017年上半期のホーチミン市における不動産市況について解説しました。今回は、外国からのベトナム市場への投資の状況を見ていきます。

どの投資形態も前年比で増加傾向、投資分野も様々

前回、ベトナム人の購買層には一服感が出て動きが鈍化しているものの、逆に外国からの投資意欲は拡大しているとお伝えしました。今回は、それを裏付ける発表があったのでご紹介したいと思います。

 

今年上半期6カ月の外国企業、外国人の投資は、新規投資、増資、株式取得などそれぞれ高い成長を続けており、外国人投資家にとってもベトナムが魅力的な国となっていることがわかります。

 

ベトナムの投資計画局によれば、上半期6カ月の外国投資額は192億2000万USDに上り、前年同期比の54.8%増で、ここ数年平均の年間誘致額である約200億USDと同等にまで達したとのこと。企業の投資もさることながら、個人での投資も増えており、ベトナム経済にとって明るい材料となっています。

 

どの投資形態も前年比で増加しており、新規投資58%、増資35.8%、株式取得97.6%となっています。また、投資する分野も多岐に渡り、94の国と地域から、各省や市への投資を実施しました。特に加工、製造、エネルギー分野に集中しています。大型のBOT(建設、運営、移転)プロジェクトとして、タインホア省のギソン2発電所(日本からの投資総額約27億9300万USD)、バクニン省、韓国企業の増資(25億USD)などがあげられます。国別の投資額では日本がトップで、多数の日本企業が約50億USD規模の投資登録済みです。

 

一部のプロジェクトでは、ベトナム市場をグローバル輸出拠点として位置づけていることが明確に伺えます。日本以外にも、韓国、シンガポール、台湾などが引き続きベトナムを中長期的な優先度の高い投資先として見ているのです。

 

投資計画局は、外国からの投資が多い理由として、ベトナム政府の政策としての投資事業環境の改善や、国家競争力の向上に取り組みが、ベトナム市場に対する将来的な信用度の向上に繋がったのではないかと推測しています。

 

ベトナムは現在交渉中のTPPをはじめ、一部の国や地域と自由貿易協定FTAを結んでおり、積極的なグローバル化を進めています。今後は貿易の円滑化、資本の自由移動、優遇関税、市場開放の実現で市場全体の価値を高め、更なる誘致に取り組む必要があるといえるでしょう。

 

今後の投資誘致計画として、ハイテク分野、IT分野、また今後特に力を入れて行きたい農業分野について、継続して行っていく方針です。一方、旧式の技術や環境汚染の危険性がある事業については、申請を受理しない方向で進めています。投資誘致を絞り込みながら、多国籍企業グループで将来的な拡大が見込めるプロジェクトを優先し、特に新規技術の移転・応用といった外国企業と国内企業間の協力形態に特化する考えがあります。

 

また同時に、投資の事業規制や法整備など、事業環境の不備を撤廃して明確にするといった、海外の投資先の要望を満たす必要もあるでしょう。

2017年は不動産部門のM&Aも急増

ベトナム不動産市場ではすでに、日本企業である東急電鉄、野村不動産、阪急不動産、西鉄、大和ハウス、前田建設などが、現地の開発会社と合弁でコンドミニアムや工業団地の開発事業を行っています。

 

また、ハセコ、藤田、三菱商事などの主要な不動産グループも、ベトナムの不動産プロジェクトを検討しています。なかでも三菱商事は、ベトナムの不動産開発大手のBitexco社と合弁会社を設立し、Bitexco社がハノイで進める、住宅、商業、オフィス、学校、スポーツ施設等の大規模複合開発、The Manor Central Parkプロジェクトに参画しています。プロジェクトの計画面積は90haにわたり、政府による一体整備が計画されている公園の面積100haを加えると、ハノイ市最大の不動産開発事業となります。分譲住宅開発においても、低層棟約1,000戸、高層棟17棟・約7,700戸と最大規模です。

 

三菱商事は分譲住宅開発計画のうち、第一期計画となる低層棟240戸、高層棟2棟1,036戸に参画し、出資比率はBitexco 55%/三菱商事45%を予定、第一期計画の総事業費は約300億円となる見込みです。

 

また意外なことですが、CBREからのレポートによれば、ホーチミン市1区中心地のA&Bオフィスビルの外国人所有権枠の70%は、日本からの投資家によって占められていました。

 

ベトナムNetBridge- 外国投資機関(FIA)によると、外国人投資家は上半期6カ月で21事業分野のうち、19業種に資本参加しました。そのうちの不動産投資資本が530億ドル(5.5兆円)で、2位にランクされています。不動産部門のM&Aも2017年に急増し、過去最高を達成すると予想されています。

 

以上のように、不動産だけではなく、様々な分野に外国からの投資が急増しています。それに伴って外国人も増加しており、賃貸、売買を含め、今後ますますベトナムの不動産市場は活性化していくと思われます。
 

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連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

SHINY REAL Co., Ltd. President

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。
2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。
顧客の90%が現地企業やベトナム政府。現地ローカル事業の実績を活かし、ベトナム人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサルタントとしての支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店として不動産販売を手掛ける。

著者紹介

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