事業規模、投入資金は「等身大」であることが重要
事業の規模、投入する資金の基準は「等身大」であること。無理に背伸びをしてはいけません。最初から分不相応なスケールで大勝負に打って出たところで、勝算はほぼないのが現実です。
かといって、小さくまとまる必要もありません。せっかく新たなスタートを切るのです。お金を惜しんで小さくまとめてしまっては、咲くはずの花も咲きません。
●「残ったお金で起業しよう」では失敗する
とかくシニア層は、退職金や貯金を元手にしようとしがちです。そこで質問します。老後の蓄えを別に確保したうえで、本当に十分な額が残っているでしょうか。十分な額がないのに起業したいという気持ちが先走って、お金をかけないことばかりが優先されていないでしょうか。
「老後の生活費を別にして300万円は捻出できるから、この額でできることから始めよう」そんな発想をしているとしたら、考え方を改める必要があります。事業規模を見極めたうえで、手元の資金に加えて、借り入れをするか否かを検討することです。
お金をかけるべきところにかけないと、本当に小さな事業しかできないからです。
無担保・無保証の融資で資金を調達
●経営者の個人保証が求められる融資は避ける
私は起業希望者に「創業融資はなるべく利用したほうがいい」と勧めていますが、それはどんどん借金してくださいという意味ではありません。
なにより重要なのは、適正規模で起業して、創業当初のハードルを乗り越え、軌道に乗せること。最初から過度に借金に頼ったり、返済できる限界ラインを越えても撤退の決断ができなかったりすると、周囲にたいへんな迷惑をかけてしまいます。
どんなに慎重に規模を見極め、ビジネスプランを練っても、失敗するときは失敗します。その場合でも、損害は最小限にしなくてはいけません。
そこで、できるだけ無担保・無保証の融資を考えてください。低金利の融資だとしても、経営者の個人保証が求められ、連帯保証人にならなければいけないものは避けるべきです。
人生の終わりに多額の借金を残したまま旅立つことになっては、悔やみきれませんね。子どもに借金を背負わせることだけは絶対に避けるべきです。「これが成功したら財産を子どもに残せる」と夢見るより、「死ぬときには子どもに借金を残さない」と考えてほしいと思います。