自宅と3,000万円を手に「熟年離婚」した62歳専業主婦

サチコさん(仮名・62歳)は、会社員のシゲルさん(仮名・63歳)と結婚して30年、専業主婦として家庭を支えてきました。しかし、2人の息子に恵まれたものの、夫婦関係は長年冷え切っていました。

そんなある日、息子たちが独立したのを機に、シゲルさんから離婚を切り出されました。突然の申し出にプライドが傷つきましたが、サチコさんも愛情のない夫婦関係にはウンザリしていました。

家のことや子育てを任せっきりにされた長年の不満に対する償いも含め、自宅と現金3000万円を受け取ることを条件に離婚に合意。離婚が成立した際、サチコさんは「家のことを何もできないのだから、後悔しても知らないわよ」とシゲルさんを突き放しました。

離婚後のサチコさんは、友人との食事や買い物を楽しみ、旅行にも出かけました。長年、家族を優先してきたから、これからは自分のためにお金を使ってもいい。そう考えていたのです。

しかし、専業主婦だったサチコさんには、定期的に入ってくる収入がありません。自宅があっても、生活費はかかります。生活費が月20万円だとすると、年金受給が始まる65歳までの3年間で720万円が必要です。

さらに、年金受給開始後もサチコさんの受給見込額は月10万円ほどのため、毎月10万円の赤字を預金から切り崩していくことになります。単純計算すると、年金受給開始時点で2,280万円(3,000万円-720万円)、これを年金受給後に月10万円ずつ切り崩していくとなると、84歳で使い切ってしまうことになります。

そこで、サチコさんは、仕事を探すことにしました。しかし、長年のブランクに加え、希望する条件に合う仕事がなかなか見つかりません。

今さら低い賃金の仕事をするために離婚したわけではないというプライドもあり、これまでの生活水準を下げることには抵抗がありました。

そうしているうちにも、日々の生活費はかかります。サチコさんは、ようやく自分が置かれた状況に不安を感じ始めました。