老後の資金計画において、遺産相続などの「思いがけない臨時収入」が、かえって生活基盤を危うくしてしまうケースは珍しくありません。これまで節約を重ねてきた人ほど、一度贅沢を覚えてしまうと、もとの生活水準に戻すのが困難になることも……。本記事では、年金月11万円で暮らす66歳女性の事例をもとに、おひとりさま老後の安心を守るためのポイントをCFPの石川亜希子氏が解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「これが人生最後の贅沢だから…」親の遺産2,000万円を豪華クルーズに注ぎ込んだ66歳おひとりさま女性。帰国後、〈月11万円の年金生活〉に起こった異変【CFPの助言】
【CFPの助言】わずか1年で資産200万円減…赤字生活から抜け出す「固定費」の見直し
クルーズ旅行から1年後、ミサエさんの口座残高は、1,500万円まで減っていました。残された資産で今後の生活を維持できるのか不安になったミサエさんは、体力の許す範囲でパートなどの仕事を始めました。
社員食堂の調理補助のパートを見つけたミサエさんは、月に4万円ほどの収入を得るようになりました。年金11万円と合わせて月の収入は15万円となり、貯金を取り崩すペースを抑えることに成功しました。
ただし、仕事をいつまで続けられるかは、本人の健康状態や職場環境によって異なります。収入を増やす努力と並行して、支出の見直しも欠かせません。
特に検討したいのが、家賃です。年金11万円の収入に対し、月々7万円の家賃という固定費は、あまりにも大きな負担です。とはいえ、高齢になってからの住み替えは簡単ではありません。年齢や収入などを理由に賃貸住宅への入居を断られることもあるでしょう。
こうした課題に対応するため、2025年10月には「改正住宅セーフティネット法」が施行されました。高齢者や低額所得者など、賃貸住宅への入居に配慮が必要な人を支援するための制度です。たとえば、大家と居住支援法人などが連携し、入居者の見守りや安否確認を行う「居住サポート住宅」の制度や、家賃債務保証を利用しやすくする仕組みなどが整備されつつあります。
住み替えを考える場合は、自治体の住宅相談窓口や居住支援の窓口で、利用できる制度や物件について確認してみるとよいでしょう。
もちろん、家賃を下げるためだけに、住み慣れた地域や生活環境を手放す必要はありません。引っ越し費用や通院・買い物の利便性なども含め、住み替えによって長期的に負担を軽減できるかをしっかりと検討することが大切です。
大きな支出と「その後の暮らし」への備えはセットで考える
今回のクルーズ旅行が、ミサエさんにとってかけがえのない経験だったことは間違いないでしょう。長年我慢してきた旅行のお金は、ミサエさんの人生を豊かにするための大切な出費でした。
ただし、まとまったお金が手に入ったからといって、老後の生活への備えを疎かにしてはいけません。
年金収入で日々の生活費を賄えるのか、住居費などの固定費は負担になっていないか。大きな支出を考える際には、その後の暮らしにも目を向けておきたいものです。
石川 亜希子
CFP
【注目のセミナー情報】
【Bar投資「お酒の美術館」】10月31日(土)
飲食業界未経験からBarオーナーに!
利回り年40%も狙える仕組みを解説
【大阪・民泊運営】10月31日(土)
「カジノ特需×規制強化」で参入チャンス到来か?
実質利回り15%以上を目指す仕組み
【資産形成】11月5日(木)
富裕層のための「資産防衛と運用」
相続を見据えた「資産の守り方・育て方」のコツ