「そんなこと言ってたら、あんたは一生結婚できないよ」。35歳の一人娘から結婚を考えている男性について相談された62歳の母親は、思わずそう言ってしまいました。母親としてはこれ以上ない縁談に思えたことが、娘は男性からのプロポーズを目前にして結婚をためらっていました。収入も安定していて、優しく、気遣いもできる男性。それでも娘が感じていた違和感とは、いったい何だったのでしょうか。結婚相手を選ぶうえで収入と同じくらい重視すべきポイントについて、CFPの小川洋平氏が解説します。
35歳一人娘が、年収500万円の40歳男性からのプロポーズ直前に感じた違和感…「年収と同じくらい大切なもの」とは?【CFPが解説】
結婚相手の年収と同じくらい大切な「金銭感覚」
結婚を考えるとき、相手の収入や経済的な状況が気になるのは当然のことです。
結婚すれば住居費や生活費がかかります。子どもを希望するのであれば、出産や育児、教育費などについても考えなければなりません。そのため、結婚相手の収入を確認することは大切です。
しかし、収入と同じくらい重要なのが、相手の金銭感覚です。いくら収入が高くても、それ以上にお金を使ってしまえば、家計は成り立ちません。実際、世帯年収が2,000万円を超えるような家庭でも、生活水準が高く、毎月の支出が膨らんで、ほとんど貯蓄ができていないというケースもあります。
また、高収入に合わせた生活水準が当たり前になってしまうと、定年退職後に収入が減った際、なかなか支出を減らすことができず、老後の家計が大きな赤字になってしまうこともあります。反対に、収入がそれほど高くなくても、家計をしっかり管理し、着実に資産形成を続けている家庭もあります。
重要なのは、収入が高いか低いかだけではなく、自分たちが望む生活を、その収入で実現でき、使うお金と将来のために貯めるお金を分けてコントロールできるかどうかなのです。
今回、優菜さんは結婚相手の条件として年収500万円以上を希望していました。しかし、その500万円という金額は、どうしても外せない条件だったのかは考える必要があります。
例えば、年収400万円前後でも、お金の使い方が堅実で、計画的に考えられる男性も多いものです。一方で、年収1,000万円を超えていても、毎月ほとんどのお金を使い切ってしまう男性もいるかもしれません。結婚後の生活を考えるのであれば、年収だけでなく、相手がどのようなお金の使い方をしているのかを知ることも大切です。
もっとも、今回の健一さんが浪費家だと決まったわけではありません。
高級レストランで食事をしたり、高級ホテルに宿泊したりすること自体が悪いわけではないのです。普段は支出を抑え、デートや旅行のために予算を確保しているのかもしれませんし、優菜さんの前で背伸びしてよく見せようとしているだけかもしれません。十分な貯蓄があり、将来の資産形成を計画的に行っている可能性もあります。
そのため、結婚を考えているのであれば二人で将来の生活についてイメージして話し合ってみることをおすすめします。そして、二人の収入と支出を整理し、将来の家計をシミュレーションしてみる。いわゆる「ライフプランニング」です。
その結果、将来の教育費や老後資金を準備しながら、希望する生活を続けられるのであれば、多少ぜいたくな暮らしをしていても問題はないでしょう。反対に、今の生活を続けていては将来お金が足りなくなるのであれば、何らかの対策が必要です。
そのときに重要なのが、二人で話し合い、解決策を考えられるかどうかです。
例えば、健一さんが、
「結婚したら家計も一緒になるし、旅行の回数を少し減らそうか」
「子どもの教育費も準備したいから、毎月これくらい貯蓄していこう」
と、自律的に対策を考えられる人であれば、現在のお金の使い方に多少違いがあっても、十分にすり合わせることができるでしょう。
反対に、将来の家計が立ち行かなくなることがわかっていても、支出を見直そうとしなかったり、自分の使いたいことにお金を使っているようであれば、結婚後もお金の問題を抱える可能性は高いでしょう。
金銭感覚は夫婦で完全に一致している必要はありませんし、お金を使いたいと思うものも違って当然です。だからこそ、相手のお金の使い方を理解し、お互いに尊重しながら、優先順位をつけて収支のバランスが取れるように調整していくことが大切なのです。
小川 洋平
FP相談ねっと
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