老後の年金、65歳よりも前に受け取るか、原則どおり65歳から受け取るか、もっと遅く受け取るか――いつから年金を受け取るかという選択肢は広がっています。実際に原則である65歳からの受け取りをしないことを選んだ人からは、さまざまな声が上がっているようです。本記事では、繰下げ受給を選んだAさんの事例から年金の受け取り方について、合同会社ミコサポ代表の三藤桂子氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
年金、繰り下げたせいでこんな目に…〈年金200万円〉に増やした70歳男性、苦労をかけた妻を前に「早く年金を受け取っていれば…」と“悔い”しかない老後【FPが解説】
悔やまれる「時間の使い方」
「なんのために無理をして働き続けてきたのだろうか。妻がこんなに早く亡くなってしまうのであれば、年金を繰り下げずに65歳から受け取り、もっと早く仕事をセーブしていればよかった。そうすれば、妻の身体の異変にも早く気づけたかもしれないし、2人で小旅行を楽しむ時間くらいは作れたのではないか……。もし、妻の寿命がわかっていたらなあ……」
Aさんは「年金を繰り下げたせいでこんな目に遭ってしまった」と後悔を口にします。
老後の経済的なゆとりを目指して増額を狙うのか、あるいは、早めに受け取って家族との時間や健康を優先するのか。Aさんの悔いは、数字の損得だけでは測れない、多様化した年金受給方法の「選択の難しさ」を浮き彫りにしています。
公的年金を「働けなくなった高齢期の保険」と捉えれば、繰下げによる増額は安心できる判断といえるでしょう。一方で、早めに受け取って元気なうちに時間を有効に使いたいという考え方も、決して間違いではありません。人生100時代といいつつも、一人ひとりの寿命まではわからないからです。現実的にライフプランを考える上で想定外の寿命を考えることは難しいもの。
年金はどのタイミングで受け取るのが最適なのか。実際に、その人が「後悔しない受け取り方」は、人生が終わらないとわからないのかもしれません。だからこそ、受給時期を検討する際は「受給額の最大化」だけに目を奪われるのではなく、日ごろから健康寿命を延ばすことを念頭に、「その年齢でなにをして過ごしたいのか」という時間的な価値も含めて総合的に判断する必要があります。
三藤 桂子
合同会社ミコサポ
代表
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