年を重ねるにつれ、身体機能の低下や車の運転への不安を理由に、利便性の高い駅近マンションへ住み替える高齢者も少なくありません。しかし、購入価格や立地だけで判断すると、入居後に想定していなかった維持費負担や生活環境の変化に直面し、後悔するケースもあるようで……。70歳夫婦の事例をもとに、老後の住み替えで確認すべきポイントについて、辻本剛士CFPが解説します。
もう限界です…郊外戸建て売却で〈3,000万円の駅近マンション〉に住み替えた年金月20万円・70歳夫婦。たった半年で後悔したワケ【CFPの助言】
【CFPの助言】住み替え時に見落としがちな「修繕積立金」
老後、身体機能の低下や運転への不安などから、駅近のマンションやバリアフリー住宅への住み替えを検討する方も少なくありません。この際、交通の利便性や物件価格、購入時にかかる諸費用などに目が向きがちです。
しかし、それらと同じくらい重要なのが、購入後に発生する維持費です。特に見落としやすい費用として、次の2つが挙げられます。
・修繕積立金の増額
・設備の交換・リフォーム費用
なかでも修繕積立金は毎月支払う費用であるため、長期間にわたって家計へ影響を与えます。
修繕積立金の積立方式には「均等積立方式」と「段階増額積立方式」があり、多くのマンションで段階増額積立方式が採用されています。段階増額積立方式とは、新築当初は積立金を低く設定し、一定期間ごとに段階的に増額していく方式です。
この場合、将来確実に修繕積立金が上がることから、老後の家計を圧迫しやすい点に注意が必要です。
また、建築費や人件費の上昇などによって積立金が不足した場合には、当初の計画以上に修繕積立金が引き上げられることもあります。国土交通省が公表した資料によると、集合住宅で住民から集める「修繕積立金」の積立額が不足しているマンションの割合は36.6%にのぼります。
マンションを購入する際は、長期修繕計画や重要事項調査報告書を確認し、修繕積立金の増額予定や積立状況を事前に把握しておくことが重要です。
老後の住み替えは「購入後の維持費」まで見据えて
マンションでの生活に限界を感じたテツヤさん夫婦は、入居から半年後、マンションを離れる決断をしました。現在は賃貸住宅へ引っ越し、生活を立て直しながらマンションの売却を進めています。
しかし、売却は思うようには進みません。築30年という築年数に加え、修繕積立金が月3万5,000円まで増額されたことが、購入をためらう要因となっているようです。
住み替えで後悔しないためには、購入価格や利便性、住環境だけではなく「購入後にどのくらいの維持費がかかるのか」「将来的に修繕積立金が増額する可能性はあるか」といった点まで確認し、資金計画にゆとりをもたせるようにしましょう。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP
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