夫婦仲が悪化する原因として上位に挙げられる「不倫」。たとえ離婚しなかったとしても、その“制裁”として家計管理を厳格化するケースは少なくありません。しかし、プライベートまで制限されるような一方的な「家計支配」は、法的に認められるのでしょうか? 本記事では、事例をもとに夫婦間の家計管理の許容範囲とそのポイントを弁護士の山村暢彦氏が答えます。
「許されないのはわかっているが…」手取り83万円・52歳夫、13年前の不倫の代償で小遣いは〈月3万円〉…今も続く専業主婦の妻との「上下関係」【弁護士の助言】
「許されないのはわかっているが」夫の限界…子どもが独立する7年後に見据える熟年離婚
「自分のしたことが許されないのはわかっています。でも、13年経ってこんな仕打ちだなんて…」
マサキさんは現在、密かにある計画を立てています。下の子どもが大学を卒業する7年後、カナコさんに離婚を切り出そうと考えているのです。
「妻が貯蓄をしてくれたおかげで、財産分与で半分になってもひとりで生活していけます」
過去の過ちに対する代償とはいえ、不信感と制裁だけでつながる関係は、結果として夫婦の心を決定的に引き裂いてしまったようです。
【弁護士の助言】不倫の代償とはいえ「無制限の支配」は認められない
過去に不倫をした事実があるとしても、それによって配偶者が一生にわたり相手を経済的・精神的に支配してよいことにはなりません。
不倫は慰謝料や離婚原因になり得る重大な問題ですが、だからといって、給与口座を完全に管理され、日常的に疑われ続ける生活を無制限に受け入れる義務があるわけではありません。
もっとも、妻の対応もかなり窮屈ではあるものの、家計管理自体は夫婦の役割分担でもあり、ただちに離婚原因になるとまではいい切れません。レシート確認や小遣い制も、その経緯や程度、夫婦間の合意、生活実態によって評価が変わります。
また、7年後に離婚を切り出せば法的手段で一刀両断できる、というものでもありません。離婚時には財産分与、年金分割、場合によっては婚姻費用や慰謝料などを含め、結局は協議や調停で話し合う必要があります。婚姻中に形成された財産は、名義にかかわらず原則として財産分与の対象となり、専業主婦であっても家事・育児の貢献は評価されます。
したがって、いますべきことは、将来まで不満を溜め続けることではありません。家計の全体像、自由に使える金額、仕事上必要な交際費の扱いについて、いまの段階から、たとえぶつかってでも話し合うことが重要ではないかと思います。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
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