親が高齢になるにつれ、子どもにとって避けて通れない課題となるのが親の“終の棲家”です。「老人ホーム」とひと口にいっても、近年はサービス内容やかかる費用が多様化し、どこを選べばいいのか迷ってしまう人も多いでしょう。しかし、外観の美しさやパンフレットの甘い言葉だけで施設を選んでしまうと、入居後に取り返しのつかない事態に陥ることも……。80代の母親と50代の娘の事例を通して、後悔しない「老人ホーム」選びのポイントについて、介護施設で勤務していたFPの武田拓也氏が解説します。
「知らない人が…」年金12万円・82歳母からのSOS。56歳娘が高級老人ホームで目撃した〈衝撃の光景〉【元介護施設勤務のFPが解説】
施設選びで失敗しないための「3つ」のポイント
今回の事例は決して他人事ではありません。カナさんが失敗してしまった最大の原因は、施設の「もっとも条件がいい状態」だけを見て判断し、「満床時のリアルな介護現場」を予測できていなかった点にあります。
オープンしたばかりの高齢者施設は、入居者が少ないためスタッフの人数に余裕があり、手厚いケアを受けられます。しかし、これはあくまで“オープン直後だけの特別な状態”です。また、開業当初はスタッフのモチベーションも高く余裕がありますが、入居者が増えて業務量が膨らむにつれ、離職が続く場合もあります。
では、施設を選ぶ際になにを基準にすればよいのでしょうか。
1.「重要事項説明書」を確認する
まずは、契約前に必ず「重要事項説明書」を確認しましょう。ここには、施設概要や職員体制、入居者の状況など、施設の「運営の実態」が記載されています。
2.「有資格者」の割合を確認する
見学時には、スタッフの総数だけでなく、そのなかに「介護福祉士」などの国家資格を持つ職員がどれくらいいるかを確認するようにしましょう。
有資格者の割合が高い施設は、知識と経験に基づいた適切なケアや認知症ケアのノウハウを持っています。反対に、無資格のパートや派遣スタッフばかりで回している施設は急なトラブルや徘徊などに適切に対応できないリスクが高まります。
3.「満床時」を想定した見学と質問を行う
もし見学に行く施設がまだ満床でない場合は、担当者に次の質問をしてみてください。
「現在、入居率は何割ですか?」
「満床になったとき、夜間の見守りスタッフは何名体制になりますか?」
「認知症の方が徘徊された場合、他の入居者のプライバシーや安全はどのように守られますか?」
この質問に対して明確なマニュアルや対策を即答できない施設は、満床時に現場が疲弊する可能性があります。また可能であれば、すでに満床に近い同系列の施設を見学させてもらうのもひとつの手です。その場所の空気感は、入居を検討している施設の「数年後の姿」になる可能性が高いといえます。
せっかく積み上げた資産を活かす選択を
たとえ「高級老人ホーム」に入れるだけの十分な資産を持っていても、その資産を投じる先が「安心できる終の棲家」でなければ、悲惨な結末になりかねません。
終の棲家は、人生で最も大きな買い物のひとつです。だからこそ、「目に見える美しさ」だけではなく、目に見えにくい「人の質」や「運営体制」にも目を向けてください。
人生の最終章を安心して過ごすためにも、施設を選ぶ際には重要事項説明書の数字をしっかりと確認し、数年先のリスクまで見据えて慎重に検討することが重要です。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役
【注目のセミナー情報】
【事業投資】7月7日(火)オンライン開催
《投資収益×税金対策》
「ワーキングブース投資」の全貌
【国内不動産】7月14日(火)オンライン開催
東急不動産HDグループの会社とオリコが全面支援!
インバウンド時代の「民泊・旅館業」投資戦略