現役時代に高収入だったとしても、給与が途絶えて年金生活に入った途端、生活水準を下げられず「老後破綻の危機」に陥るケースは珍しくありません。特に「子どもからの仕送り」をあてにしていた場合、その仕送りがなくなることで一気に窮地に追い込まれる可能性があります。本記事では、CFPが事例をもとに、“金銭援助頼み”の家計設計が抱える落とし穴と、老後の家計をどう考えるべきかについて解説します。
海外旅行に連れて行ってくれ…〈年金月30万円〉と〈仕送り月8万円〉で暮らす60代夫婦、帰省中の34歳息子におねだりした結果、言い渡された「厳しい宣告」に絶望【CFPが解説】
【CFPが解説】子どもの教育費は“リターン前提”の投資ではない
カズユキさんの「オレのおかげだ」という言葉の裏には、「これだけ息子に投資したのだから、その恩を返してもらって当然」という、無意識の思いが見え隠れしています。
しかし本来、教育とはリターンを求める性質のものではありません。子どもからすれば、「人生をコントロールされてきたうえに、まだ搾取されるの?」という思いが芽生えても不思議ではありません。
本来、老後の生活費は年金と自助努力で賄うものであり、子どもからの援助は「あれば助かる」程度に留める必要があります。援助が長期化・固定化すると、それはもはや「援助」ではなく「依存」です。そうなれば、今回のように金銭援助がなくなった途端、老後破綻危機に陥ることにもなりかねません。
総務省の「2025年(令和7年)家計調査報告」(※)によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における消費支出は、平均で約26万4,000円となっていますが、これは“ゆとりある老後”には足りないといわれています。
仕送りがなくなり、カズユキさんは急にお金の不安が押し寄せてきました。そんなカズユキさんに、ミキコさんは言いました。
「なにいってんの、優しい息子に育ってくれたのはきっとあなたのおかげよ。どうせ毎日暇なんだから、ゴルフなんてやめてアルバイトでも探したら?」
健全な親子関係に必要な「自立」の意識
たとえ親子であっても、家計はもちろん、1人ひとりが独立した存在です。子どもからの援助は強制するものではなく、あくまで無理のない範囲で、目的・金額・期間を決めて行うことが重要です。
互いに自立していることが、結果として心地よい距離感を保ち、親子関係を健やかに続けていくための土台となるのではないでしょうか。
石川 亜希子
CFP
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