漠然とした不安を「具体的な課題」にする

佐藤さんの場合、年金収入が月18万円、金融資産は約1,000万円、自宅という資産もあります。ただ、毎月家計は赤字であり、単純計算で年間約72万円の赤字。1,000万円の貯蓄は約14年(85歳)で底をつきます。

ここに外壁塗装や屋根の修繕、自身の医療・介護費が入ると、70代後半〜80歳前後で破綻するリスクもあることがわかります。「なんとなく不安だ」と先送りしている間にも、貯蓄は確実に減り続けているのです。

仮に90歳、95歳まで生きるとしたら、現在の収入と支出で資産はどのように推移するのか。自宅を売却した場合、どれくらいの資金を老後の住まいに充てられるのか。こうしたお金の寿命を数字で「見える化」することで、漠然とした不安は「今、手を打つべき具体的な課題」へと変わります。

判断力や体力が低下してからでは、十分な準備ができず、選択肢そのものが狭まってしまいます。だからこそ、元気なうちから「これから先、どのように暮らしていくか」という視点で住まいを考えることが大切なのです。

老後の住まいは「いつか」ではなく「今」考える問題

老後の住まいの問題は、お金、健康、人間関係、介護、そして人生そのものに関わる問題です。佐藤さんのように「いつか考えよう」と思いながら先送りしている人は少なくありませんが、年齢を重ねるほど住み替えや住宅売却のハードルは高くなります。

大切なのは、まずは自分の現状を正しく把握することです。収入、支出、資産、そして住まいに掛かるコストを整理し、このまま暮らした場合の未来を数字で確認してみること。 その上で、「今の家で暮らし続ける」「住み替える」「高齢者住宅を検討する」など、自分に合った選択肢を考えていけば良いのです。

老後の不安は、見えないから大きくなります。まずは現状を「見える化」すること。それが、安心して老後を過ごすための第一歩です。

小川 洋平
FP相談ねっと

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