入居一時金4,000万円を支払い、「一生安泰」と信じて高級老人ホームに入居した70代夫婦。しかし6年後、妻の認知症進行によって事態は一変します。施設から突然「月8万円の追加費用」を請求され、退去しようにも返還金はゼロ。毎月18万円の赤字に直面し、老後資金が底を突く恐怖に怯える夫婦の事例をもとに、元社会福祉士のFPが「高齢者施設選びの注意点」を解説します。
聞いてないぞ…〈入居一時金4,000万円〉の高級老人ホーム。入居6年後、年金月23万円・70代夫婦が絶望した「月8万円の追加請求」【元社会福祉士FPが警告】
【元社会福祉士FPが警告】「有料老人ホーム=追加費用なし」の思い込み
なぜ、このような悲劇が起きてしまったのでしょうか。原因は「有料老人ホーム」という言葉への誤解と、担当者の「すべてお任せください」という言葉を鵜呑みにしてしまい、契約書の重要事項を見落としたことにあります。
多くの人が「住宅型有料老人ホームに入れば、介護度が重くなっても定額で一生面倒を見てもらえる」と考えがちですが、施設や状況により違いがあります。
住宅型有料老人ホームは、介護サービスを「使った分だけ」支払う仕組みです。タエさんのように認知症の周辺症状(徘徊や不穏)が激しくなると、介護保険でのサービス利用枠を使い切ってしまい、サービス限度額を超えた分が全額自己負担になります。
「償却期間」について
入居一時金は、施設を終身利用するための権利金のようなものです。一般的に5年から10年程度の期間で償却されていきます。ノリオさんたちのように、償却期間が過ぎてから退所しようとすると、手元にお金は戻りません。そのため身動きが取れなくなる場合があります。
老後破綻を防ぐためには「最悪のシナリオ」を“入居前に”想定する
これから高齢者施設を検討する方は、パンフレットの華やかな写真や見学時の雰囲気だけで決めず、「介護を受ける前提」でシミュレーションをしましょう。
「夫婦ともに認知症が進行したとき」「寝たきりになったとき」など、最も介護の手が必要になった場合に月額費用が最大いくらまで膨らむかを施設側に必ず確認してください。
「老後の安心」を買ったはずなのに、家計が破綻しては意味がありません。契約前には必ず重要事項説明書を読み込み、介護度が重くなった場合の費用まで確認しておきましょう。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役
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