「月10万円の赤字」で貯蓄1,500万円が激減…66歳夫婦の老後不安

家計の状況に照らして、年金の受給開始を夫婦が別のタイミングにする“時間差受給”という方法は、おふたりさまならではの作戦です。

Hさん(66歳)は、再雇用が延長され、65歳を過ぎても就業を継続できました。ただし、最初の再雇用時より想定以上に給料が減り、家計はたびたび月10万円以上の赤字に。赤字分は約1500万円ある貯蓄から補填してきましたが、老後資金の減りの速さに不安を感じ、夫婦で相談に来ました。

おふたりとも、年金は繰り下げ受給で増やすことを目指し、65歳からの受給はしていません。できれば75歳まで繰り下げ、最大限に増やしてから受給したい考えです。しかし、赤字が月10万円を超える現状では、貯蓄の切り崩しだけで今後10年の赤字を乗り越えられるか、難しい側面があります。

Hさん夫婦は資産運用しておらず、貯蓄はすべて預貯金で持っています。まだまだ低金利の時代ですので、貯蓄を切り崩してでも年金を繰り下げたほうが、金銭的にはお得です。

おふたりさまを救う「時間差受給」…妻だけ先に年金をもらい老後破産を回避

しかし、生命寿命や健康寿命との兼ね合いや、万が一の急な出費に備え、貯蓄を減らしすぎるのも考えものです。そこで、まずは繰り下げ受給の増額分が少ない、妻の年金の受け取りを開始しました。

併せて支出の見直しも行った結果、家計は黒字に転じ、貯蓄が減ることがなくなりました。Hさんの再雇用期間が終わっても、その時点からHさんが年金受給を開始すれば、家計の黒字は続く見込みです。

ちなみに、老後資金をすべて預貯金(現金)で持ち続けるのは、違った“リスク”が生じます。昨今のように物価上昇局面が続くインフレの時代では、お金の価値が目減りしてしまうからです。

たとえば、現時点で1500万円ある預貯金が、物価が上がった10年後には1300万円ほどの価値しかなくなることは十分に想定されます。

Hさん夫婦も、老後資金の一部をリスクの少ない「積立投資」に回すことにしました。年金の繰り下げ受給による“利回り”よりは低いかもしれませんが、預貯金より格段に高い利益が期待できるからです。