体調不良や離婚、退職など、さまざまな理由から成人した子が一度家を出た後に実家へ戻り、親と再び同居するケースは珍しくありません。金銭面でも精神面でも大きな支えとなる実家は、“一時的な休息所”としては心強い存在です。しかし、同居が長期化すると、最悪の場合「親子共倒れ」に発展しかねません。69歳の父親と35歳の娘の事例をもとに、高齢の親と成人した子の同居が抱えるリスクと対策をみていきましょう。
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親の支援が依存に変わる…「8050問題」の危険性
働き盛りの子どもが長期間にわたって実家に依存する状況は、いわゆる「8050問題」の予備軍といっても過言ではありません。
8050問題とは、80代になった親が50代の無職の子を支え、世帯全体が経済的にも精神的にも行き詰まってしまう社会問題を指します。
いまは娘を養える家計であっても、退職金は介護費や自宅修繕などで少しずつ目減りしていき、親が亡くなれば年金収入も途絶えます。マサヒコさんの一喝は、「自分のお金がなくなっても、親の資産に頼ればいつまでも暮らせる」という娘の幻想を打ち砕く親心だったといえるでしょう。
ただし、環境の変化などで一時的に働けなくなることは、誰にでも起こり得ることです。子の再出発に向けてサポートすること自体は悪いことではありません。
だからこそ、同じ金銭援助でも工夫が必要です。たとえば、実家で過ごすあいだは毎月一定額を家に入れさせ、その一部を親がこっそり積み立てておき、タイミングをみて引越し費用や当面の生活費の足しとして渡すという方法が考えられます。
単なる「甘やかし」は依存を助長するだけで、自立支援とはいえません。
人生100年時代、30代は十分やり直し可能
マサヒコさんによると、アヤカさんは「年齢や自身が置かれた環境を周りと比べると、いまから頑張ってもどうにもならないと考えて自暴自棄になっていた」ということでした。
アヤカさんの気持ちも分かりますが、人生100年時代において、30代は十分やり直しのきく年代です。ただ、離職期間が長くなるほど再就職時の賃金水準が下がりやすく、厚生年金の加入期間が短くなれば、将来受け取る年金額にも影響します。こうした現実に目をつぶってはいけません。
実家暮らしは当面の出費を抑えられますが、将来の不安を和らげるには、再び働き始めて資産形成の土台をつくり直す必要があります。退職後は、まず雇用保険の基本手当(失業給付)の受給要件を確認し、それと並行して、ハローワークが案内する「ハロートレーニング」を活用するのも有効です。
ハロートレーニングには、雇用保険受給者向けの「公共職業訓練」に加え、受給資格がない人向けの「求職者支援訓練」もあります。事務、IT、介護、Web関連など幅広い分野が用意されており、後者では一定の収入・資産要件を満たせば「職業訓練受講給付金」を受け取りながら学べる場合もあるため確認しておきましょう。
