内閣府「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、60歳以上の男女が生きがいを感じる瞬間として最も多くあがっているのが「子供や孫など家族との団らん(55.3%)」でした。もっとも、なかには「孫を心から可愛がれない」と悩む人もいるようです。息子家族の帰省に怯える60代夫婦の事例をみていきましょう。弁護士が解説します。
また来るの?…年金月23万円の60代夫婦が「念願の初孫」を“心から可愛がれない”切実な理由【弁護士の助言】
「離婚したから返して」は通用する?
本件でまず確認すべきなのは、祖父母から孫やその親に対する金銭援助は、原則として「贈与」と評価されやすいという点です。
出産祝い、教育費、生活費の援助などは、家族間では自然に行われることも多く、一度任意に「贈与」したお金について、後から「離婚したから返してほしい」と請求するのは、法的にはかなり困難でしょう。
タカシさん夫婦としては、「跡継ぎだと思っていたから援助した」「孫との関係が続く前提だった」という気持ちがあるでしょうし、感情的には十分理解できます。しかし、法的に返還を求めるには、単なる期待では足りません。
たとえば、離婚した場合には返還する、教育費以外に使った場合には返還する、あるいは貸付であるといった明確な合意や書面が必要です。
筆者としても、このような書面を家族間で作成することに社会通念上の違和感があることは理解できます。しかし、こうした事情がない限り、「贈与」を否定することは非常に困難なのが実情です。
レアケースな「例外」も…
ただし、非常に例外的ではありますが、「最初から虚偽の説明で金銭を出させた」「教育費名目で受け取ったのにまったく別用途に流用した」「借用書がある」などといった事情があれば、返還請求の余地はあります。
ただし、本件のように「孫のため」として継続的に援助していた場合、全額回収は容易ではありません。
家族間のお金は、関係が良いときほど曖昧になりがちです。しかし、老後資金を削る援助であれば、金額の上限や使途、返還の有無をあらかじめ決めておくことをおすすめします。
孫を思う気持ちは大切ですが、法的には「好意で渡したお金」は戻らないことが多い……この現実を踏まえた線引きが重要といえるでしょう。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
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