わずか4年で衝撃の目減り…それでも支出を減らせない“厄介な理由”

こうして、定年からわずか4年で貯金が約2,000万円にまで減少していたシンジさん。月に約22万円の収入がありながら、年間約250万円のペースで取り崩している計算です。

残高が減るスピードに不安が募るシンジさんでしたが、会社員として年収1,000万円を突破したプライドや、周囲との比較、生活水準を落とすことへの抵抗感などが邪魔をし、なかなか支出を減らすことができませんでした。

なにより、妻の幸せそうな姿を見るたび、「お金がないから節約しよう」とは口が裂けても言えないと思っていたそうです。

しかし、このままの生活を続ければ、遅かれ早かれ資金が尽きることは明らかでしょう。

エリートほど要注意…「老後破綻」に陥る原因

老後に入ってから生活が立ち行かなくなり、自己破産にいたる世帯は決して珍しくありません。

日本弁護士連合会の「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、全破産債務者のうち60代以上が占める割合は2017年以降増加傾向にあり、2023年では28.55%にのぼります。老後破綻は一部の特殊なケースではなく、誰にとっても起こりうる問題です。

出所:日本弁護士連合会「消費者問題対策委員2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」を参考に筆者作成
[図表]老後破綻の割合出典:日本弁護士連合会「消費者問題対策委員会2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」を参考に筆者作成

老後破綻の要因として、退職後も住宅ローンなどの負担が残っているケースや、思わぬ病気・ケガによる医療費の増加、想定外の支出が重なるなどさまざまですが、なかでも多いのが「生活水準を下げられない」という問題です。

意外かもしれませんが、このケースは現役時代に給与が高かった会社員も少なくありません。一度上げてしまった生活水準を下げることができず、現役時代と同じ感覚で支出を続けてしまった結果、資産が想定以上のスピードで減っていくのです。

こうしたリスクを避けるため、定年前の事前準備が重要になります。具体的には、ライフプラン表を作成し、今後の収入・支出・資産の推移を可視化しておくことが有効です。

あらかじめ年間の収支バランスを把握し、どの程度の支出であれば持続可能なのかを確認しておけば、老後に入ってからの支出管理もしやすくなるでしょう。