父の後悔

ヨウジさんの勤務先は65歳定年です。現在は年収1,200万円ですが、58歳になれば役職定年となり、収入が2割ダウンします。60歳からはさらに1割の減収です。

「もし来年も国立が厳しければ、私立に行かせるしかないか……」

そうは思うものの、私立となると、1,500万円の貯蓄はほぼすべて教育費に消えてしまうでしょう。

教育費と自分たちの老後不安に押しつぶされそうになったヨウジさんは「第三者の意見を聞こう」と、妻を連れてファイナンシャルプランナー(FP)に相談することにしました。

深刻な問題

「後悔しています」

そう嘆くヨウジさんから話を聞いたFPは、息子のソウタさんが私立大の医学部へ進学する可能性も踏まえ、現状の問題点と今後のマネープランについて整理しました。

現状の問題点はまず、収入の下落ピークと教育費のピークが重なってしまう点です。

現在の年収は1,200万円ですが、58歳で960万円、60歳で864万円と、今後は2段階で収入が減っていきます。一方、ソウタさんがもし来年私立大医学部に進学した場合、学費のピークはちょうど収入が下がり始める時期と重なります。

また、もし預金1,500万円を学費に充てる場合、不足分は「これから」調達しなければなりません。その場合、老後資金は事実上ゼロになります。

さらに、ヨウジさんは「ここまでかけてきた教育費を取り戻したい」、すなわち「なにがなんでも医者になってほしい」という気持ちが芽生え、金銭的に厳しい私立大への進学も辞さないという思考に陥っている節があるようでした。

教育費と老後資金を両立するための「3つ」の対策

今後は、下記の3点を踏まえて家計全体を見直していくとよいでしょう。

1.学費負担の選択肢を広げる

まずは「教育ローン」の活用を検討することです。国の教育ローンは年収制限があり利用が難しい場合でも、民間の教育ローンであれば利用できる可能性があります。また、「奨学金」の利用も視野に入れるべきでしょう。場合によっては、ソウタさん自身にも「自分のキャリアへの投資」として学費の一部を負担してもらうことを話し合う必要があります。

さらに、「医者になったあと特定の地域で勤務すること」を条件に、学費が免除される制度を設けている私立大学もあります。こうした制度を利用できる大学への進学も、選択肢として検討すべきでしょう。

2.生活費の見直し

家計の見直しを始めるうえで、固定費をはじめとした支出の見直しは必要不可欠です。まずは、数年後の収入減を見据えてシミュレーションする必要があるでしょう。

3.収入を増やす

65歳の定年を迎えたあとも、可能な限り働いて収入を得ることを検討すべきです。専業主婦の妻がパートに出て、世帯年収を増やすという選択肢もあります。