高齢者施設のなかでも、月額費用が民間に比べ大幅に安く終身利用が可能なことなどから、人気が高い「特別養護老人ホーム(特養)」。しかし、せっかく入居できても、“予想外の理由”により退去をお願いされてしまうケースも……。79歳父と50歳長男の事例をもとに、FPが特養入居前に押さえておきたい注意点を解説します。
年金15万円の79歳父、1年待って念願の〈特養〉に入居も…わずか半年後に退去勧告受け絶望。50歳長男が施設長から告げられた「まさかの一言」【元介護施設勤務のFPが警告】
施設から「退去勧告」を受けた理由
施設長の話によれば、父は入居後しばらくして脳梗塞を発症して入院し、病院でも誤嚥性肺炎を繰り返しているといいます。
嚥下機能(飲み込む力)が著しく低下していることから食事は刻み食からペースト食へ移行したものの、経口摂取が難しくなっているため、気管切開が必要になる可能性が高く、医療的な対応が必要な状態にあるそうです。
「まさか……退去、ですか?」
「はい。医師からも、より医療体制の整った施設への転居が望ましいとの判断が出ています」
トシユキさんの頭は真っ白になりました。
「そんな、やっと入れたのに。また探せっていうんですか?」
思わず声を荒げましたが、施設長は申し訳なさそうに頭を下げるばかりです。
「どうしたらいいんだ……」と、トシユキさんは途方に暮れてしまいました。
特養は“万能”ではない…入居前に押さえておきたい「3つ」のポイント
特養は「費用が安い」「終の住処になる」というイメージも強く、人気が高い施設です。しかし、入居時にはいくつか見落としがちな“盲点”があります。順にみていきましょう。
1.特養は医療機関ではない
まず押さえておきたいのは、特養はあくまで「生活の場」であり、医療機関ではないという点です。日常的な介護は受けられますが、医療依存度が高くなると対応が難しくなります。
今回の事例のような嚥下障害・気管切開などに伴うリスク管理や、頻繁な吸引、経管栄養、人工呼吸器の使用など、常時の医療的ケアが必要になると、退去や転居を求められる場合があることは認識しておきましょう。
2.看取りの方針
また、「看取りの方針」についても、入居前に確認しておく必要があります。看取りに対応している施設も増えてはきているものの、もちろんすべてのケースに対応できるわけではありません。
医療体制や提携医の方針によっては、最期を施設で迎えられず、病院へ搬送されることもあります。どこまで対応可能なのか、事前に確認しておくことが重要です。