子ども家庭庁「ひとり親家庭等の支援について(令和7年)」によると、ひとり親世帯の母親の平均年間就労収入は236万円でした。こうしたなか、特に子が小さい場合など、離婚後に親を頼るケースも少なくありません。ただし、場合によっては「親子共倒れ」の危機に瀕することも……。36歳シングルマザーと60代両親の事例をもとに、離婚前後の経済的備えと、支援制度の活用ポイントをみていきましょう。
いい加減にしろ!…年金月17万円・温厚な66歳父の「はじめて聞く怒鳴り声」に号泣した36歳シングルマザー。3ヵ月後「怒鳴ってくれた父」に心から感謝したワケ【CFPの助言】
父が娘に突きつけた“現実”
その日の夜、冷静さを取り戻したワタルさんはマミさんを呼び出し、こう言いました。
「昼は突然怒鳴ってすまん。でもな、少しだけこれからのことを冷静に考えてほしいんだ」
そして家計の現状を淡々と話しはじめます。
・同居をはじめてから、毎月4万円前後の赤字が続いていること
・赤字分は老後資金を取り崩して補填しているため、このままでは自分たちの生活が危ういこと
「不安になって、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談したんだ。そうしたら、『収入が増えずにいまの支出が続くと、最短で15年後には資産が尽きる可能性がある』と言われた」
「それにこの先、リオの教育費も必要になるだろう。家を出て行けとは言わないが、なるべく早く経済的に自立してもらわないと心配だよ」
マミさんは、うつむいたまま父の言葉を黙って受け止めました。これまで目を背けてきた現実を、ようやく自分ごととして痛感したようです。
「自立支援制度」を活用
後日、ワタルさん夫婦はマミさんを連れて、改めてFPのもとへ相談に訪れます。
そこで、シングルマザーには「母子家庭就業・自立支援センター」で職業訓練を受けて資格を取得できる制度や、自治体によってはひとり親家庭の在宅就業推進事業で在宅ワークを支援してくれる仕組みもあると知りました。
人と接することは嫌いではないマミさんは、早速「自立支援教育訓練給付金」を活用して、「ホームヘルパー」の資格を取ることに。
両親には、「資格が取れるまで実家に住まわせてほしい」とお願いし、ワタルさん夫婦も「そういうことなら」と快諾。娘の自立を応援することにしたそうです。
実家を出て「再スタート」を切ったマミさん
そして約3ヵ月後、マミさんは無事にホームヘルパーの資格を取得しました。自立支援教育訓練給付金を利用したことで、対象講座の受講料の6割(上限20万円)が支給され、安心して勉強に集中できたそうです。
マミさんが介護業界を選んだ理由は、慢性的な人手不足で就職先に困らないと考えたことに加え、「一人っ子である自分が将来両親の介護に直面しても、慌てず対応できるように」という思いもあったからだと教えてくれました。
「あのとき父に怒られなかったら、まだ両親に依存したままだったかもしれません。迷惑と心配をかけた分、これからは親孝行したいと思っています」
いまではワタルさんの叱責に、心から感謝しているそうです。
