半年ぶりの帰省…父から告げられた“耳を疑う事実”

都内の中堅メーカーに勤務するケンジさん(仮名/49歳)。電車で2時間ほどの距離にある実家には、一人暮らしの父・タカシさん(仮名/77歳)のため半年に1回ほど帰っていたそうです。

元技術職で手先が器用、自分にも他人にも厳しい父を尊敬していたケンジさんは、父に全幅の信頼を寄せていました。

しかし、その過信は、ある日の帰省であっけなく崩れ去ったのです。

実家をリフォームすると父…見積書を確認すると

「実はな、屋根と外壁の痛みがひどいらしくて、リフォームすることにしたんだ。もう契約も済ませたよ」

父の言葉に何気なく総額を尋ねると、「550万円」という答えが返ってきました。

築40年近い木造住宅とはいえ、部分的な補修にしては高額すぎる……胸騒ぎを覚えたケンジさんは、渋る父を説得し、リビングの引き出しから見積書を取り出させます。

そこに並んでいたのは、目を疑うような記述の数々でした。

ずさんすぎる見積書に絶句

「まず、項目のほとんどが『屋根工事一式』『外壁塗装一式』といった具合に、『一式』表記ばかりなんです。面積や単価、使用する塗料の型番すら書かれていない。さらに、合計金額の下には、赤字で『当日即決・特別値引き100万円』という、極端な数字が記載されていました」

それは典型的な悪徳業者の手口でした。さらに詳しく見ると、工事内容には「シロアリ駆除」や「床下換気扇設置」といった、当初父が予定していなかった項目がいくつも並んでいます。

「……父さん、これ、おかしいよ。総額がこんなにかかるわけない」

必死に訴えるケンジさんに対し、父は顔を真っ赤にして言い返しました。

「バカいうな、父さんが騙されるワケないだろう! 担当の人はわざわざ遠くから何度も足を運んでくれて、親身に話を聞いてくれたんだ。値引きだって、父さんのためにって特別にやってくれたんだぞ!」

ケンジさんが絶望したのは、金額の高さではありません。長年「自分はしっかりしている」と自負してきた父が、“情”にほだされて冷静な判断力を失っていたという事実です。

ケンジさんは現在、クーリング・オフの適用や契約解除に向け、弁護士の助言を仰いでいます。しかし、父の頑なな拒絶と、すでに支払ってしまった着手金を巡る攻防は、家族の絆をも引き裂こうとしていました。