タカシさんは離婚できる?弁護士の見解

日本の離婚制度では、相手が同意しない場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」、いわゆる法定離婚事由が必要になります。

単に「愛情が冷めた」「価値観が合わない」というだけでは、直ちに裁判で離婚が認められるわけではありません。実務上、大きなポイントとなるのは「別居期間」や「不貞行為」の有無です。

本件では、実質的に別居に近い状態が続いているとの主張も考えられるでしょう。しかし、週に一度帰宅している状況では、裁判所が直ちに別居と認定するかは微妙です。夫側が現状を一定期間受け入れてきた事情も、破綻認定を難しくする可能性があります。

そのため、現時点で裁判離婚が容易とは言い難く、まずは合意離婚を目指す現実的な交渉が有力です。

仮に裁判を選ぶ場合、3年程度の別居が一つの目安とされ、その間は「婚姻費用(※)」の負担が続きます。なお、仮に別居に至った場合でも、収入の多い側には原則として婚姻費用の支払い義務が生じます。専業主婦であっても生活費を請求する権利がある点は、重要な法的ポイントです。

(※)婚姻費用とは、法律上夫婦がお互いに負担すべき生活費のこと。民法上、夫婦はお互いに助け合わねばならないという「相互扶助義務」が定められており、この義務は「相手に自分と同等の生活をさせなければならない」というもの。

タカシさんは将来に渡る負担額から逆算して解決金での合意を図るか、あるいは覚悟を決めて完全別居に踏み切るか、戦略的な判断が求められる状況といえるでしょう。

離婚は3組に1組とも言われる時代ですが、離婚は金銭的にも精神的にも大きな負担をともないます。だからこそ、一時の恋愛感情だけで動くのではなく、一生涯信用できる人かどうかという視点も重要だといえるでしょう。

山村暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士