一般社団法人不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査」によると、住宅を購入する際、約14.2%の世帯が親から資金援助を受けるそうです。また、30代ではその割合が20%を超えるといいます。こうしたなか、住宅購入資金という大金をめぐりトラブルに発展する親子も少なくありません。資金援助の“見返り”を求める親が悪いのか、親への感謝が欠けている子が悪いのか……具体的なトラブル事例をみていきましょう。
年金月26万円の70代夫婦、愛する息子に〈住宅購入費1,000万円〉を援助。息子からの「一緒に住もう」を待ち続けて5年…夫婦が下した「苦渋の決断」【弁護士が警告】
住宅購入資金の援助をめぐる金銭トラブル
「お金を返してくれないか」
とある地方都市に住むケンイチさん(仮名/72歳)。妻のヨウコさん(仮名/70歳)と、年金月26万円で暮らしています。慎ましくも平穏な老後……のはずでした。
しかし現在、ケンイチさんは実の息子を相手に、金銭トラブルの泥沼に足を踏み入れています。
きっかけは5年前、愛するひとり息子・ダイキさん(39歳)からの“おねだり”でした。
「そろそろ家を建てようと思うんだ。二世帯も視野に入れて広い土地を探すから、父さんたちも少し援助してくれない? 将来は一緒に住んで、にぎやかに暮らそうよ」
「一緒に住んで」――その言葉に、ケンイチさん夫婦は舞い上がったといいます。
「かわいい盛りの孫と一緒に暮らせるなら」と、老後資金から虎の子の1,000万円を拠出。
「これで二世帯住宅の頭金にしなさい」と、ダイキさんの口座に振り込みました。
ついに息子の新居が完成…両親が抱いた“違和感”
しかし、完成した新居にお祝いに行くと、そこに“自分たちのため”と思しき部屋はありませんでした。
「子どもがまだ小さいから、物置に使っているんだ。落ち着いたらリフォームするつもりだし、安心してよ」
息子のその言葉を信じ、二人は古い自宅に戻りました。
5年後…夫婦の決断
それから約5年――相変わらず、同居の話は一向に進みません。それどころか、息子夫婦が孫を連れて遊びに来ることも減りました。
そのようななか、ケンイチさんの自宅で雨漏りが発生し、修繕費が必要になります。
老後資金の減少に不安を覚えたケンイチさんは、意を決して息子に電話をかけることに。
「同居の話が進まないなら、あの時の1,000万円を返してくれないか。家の修理代にしたいんだ」
“耳を疑う”息子の返答
受話器の向こうのダイキさんの声は、氷のように冷たいものでした。
「は? あれは贈与でしょ? いまさら返せだなんて、それはないんじゃない。こっちだって教育費でカツカツなんだよ」
「贈与だって!? 同居が前提だったはずだ!」
「そんな契約書、どこにあるんだよ。もういい? ちょっと忙しいから切るね」
こうして電話は一方的に切られてしまいました。
口約束だけで渡した大金。愛する息子に裏切られた絶望感と、迫りくる生活不安……。ケンイチさん夫婦は、息子への住宅購入費用として渡した1,000万円を取り返すことはできるのでしょうか。