暴落時にあわてて売ってはいけない――。投資の世界でよく語られるこの基本原則。平時であれば「そんなこと言われなくてもわかっている」という人も多いでしょう。しかし、地政学リスクが高まり“平時”が揺らぐいま、よりいっそうの注意が必要です。66歳男性の事例をもとに、定年後の資産運用に潜むリスクをみていきましょう。※個人の特定を避けるため、事例は一部脚色して記事化しています。
新NISAさえ始めなければ…年金23万円・66歳男性の後悔。たった数ヵ月で「180万円失った事実」を妻はまだ知らない【FPが警告】
シンヤさんがNISAを使って投資した商品は
新NISAには、120万円が上限のつみたて枠と240万円が上限の成長投資枠があり、シンヤさんはこのうち「成長投資枠」を使い、ネットやテレビの特集で人気ランキング上位にある「米国型ETF」や「高配当株ファンド」を選択して投資をはじめました。
しばらくは順調だったが…
新NISAを始めてからしばらくは順調そのものでした。だんだんと増えていく評価益に一種の快感を覚えたシンヤさんは、1年あまりで約600万円分を投資信託につぎ込んだそうです。
しかし……2025年4月、米トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」のかけ声とともに株価が急落。
「これは一時的なものだ」と自分に言い聞かせますが、アプリを確認するたびに目減りしていく資産。しだいにアプリを開くことすら苦痛になっていきました。暴落からわずか数ヵ月で含み損は180万円を超え、眠れない日々が続きます。
「あれ、まだ起きてたの?」
なにも知らない妻との会話中も、シンヤさんの頭には「評価損180万円」の文字が消えません。そのような日々が数日続いた結果、追い込まれたシンヤさんは「これ以上資産が減ったら取り返しがつかない」と、すべてを損切り(解約)する決心を固めたのでした。
投資額600万円に対し、180万円の実現損……損失率は30%にのぼり、これまで堅実に生きてきたシンヤさんにとっては大きな痛手となりました。
“なんとなく”が一番危ない…投資の原則
NISAに限らず、投資には大きく分けて下記の2つの考え方があります。
・売買をせずに積み立てを続ける「コア投資」
・数ヵ月単位で値動きを見ながら利益確定を狙う「サテライト投資」
この基本を理解しないまま「みんながやっているから」と流行に乗って投資を始めしまうと、特に昨今のような不測の事態において動揺し、大きな損失を被ってしまうリスクが高まります。
ハイリスクであっても、ローリスクであっても、「絶対に儲かる投資」はありません。だからこそ、日々のなかで情報収集に努め、場合によっては専門家の助言を仰ぐなどしながら、正しい知識を身につけることが不可欠です。