暴落時にあわてて売ってはいけない――。投資の世界でよく語られるこの基本原則。平時であれば「そんなこと言われなくてもわかっている」という人も多いでしょう。しかし、地政学リスクが高まり“平時”が揺らぐいま、よりいっそうの注意が必要です。66歳男性の事例をもとに、定年後の資産運用に潜むリスクをみていきましょう。※個人の特定を避けるため、事例は一部脚色して記事化しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
新NISAさえ始めなければ…年金23万円・66歳男性の後悔。たった数ヵ月で「180万円失った事実」を妻はまだ知らない【FPが警告】
現役時代は定期預金ひと筋…“慎重派”だったシンヤさん
現在66歳のシンヤさん(仮名)。長く勤務した中堅化学メーカーでは営業部長として活躍し、現在は妻と2人暮らしです。34歳のひとり息子は就職を機に家を出ており、家庭を持っています。
シンヤさんは「元来自分は、石橋を叩いて割る慎重なタイプだった」と言います。現役時代は「投資はギャンブルのようなものだから」と一切触れておらず、地道に定期預金だけで資産を増やしてきました。また当時は、預けていた郵便局の利率が5%超と、リスクを取らなくても着実にお金が増えていく時代だったこともあり、シンヤさんは「元本保証の定期預金こそ正義だ」と信じて疑わなかったそうです。
そんなシンヤさんは、60歳で定年を迎えたあとも嘱託社員として5年間勤務を継続。その結果、65歳の誕生日を迎えた時点で、退職金と貯蓄を合わせて3,500万円の資産がありました。
普段は倹約志向のシンヤさんですが、年に数回だけは“財布の紐が緩む瞬間”があります。それが、愛する孫へのプレゼントと、年に1度の妻との海外旅行です。
「あれこれ散財しているわけでもないし、これくらい大丈夫だろう」
普段は堅実に生きながら、ときどき妻や孫と贅沢をする……シンヤさんはそのような日々に心から満足していました。
“暇”から生まれた冒険心
しかし、定年後の時間を持て余す日々に、「なにか新しいことに挑戦したい」と冒険心が芽生えはじめたシンヤさん。
ちょうどその頃、世間は「新NISAブーム」に沸き、テレビや新聞でもよく取り上げられていました。
若い頃と比べて雀の涙ほどしかない定期預金金利に嘆いていたシンヤさんは「みんなやっているし、NISAならできるかもしれない」と、新NISAを活用した投資を始めることにしました。