公的年金は、原則として本人が内容を確認し、必要に応じて自ら手続きを行う必要があります。しかし、その仕組みを十分に理解しないまま受給をはじめた結果、“本来受け取れるはずの年金”を見落としているケースも少なくありません。そこで今回、具体的な事例をもとに、見落としがちな「加給年金」の仕組みと年金制度の注意点をみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
悔しいです…年金月11万円の65歳男性、生活のため嘱託社員として再雇用。4年後に知った「年金ルールの盲点」に後悔【CFPが「加給年金のポイント」を解説】
加給年金の盲点
加給年金とは、老齢厚生年金受給者のうち、厚生年金に20年以上加入している人が65歳に到達した時点で、生計を維持している配偶者や子がいる場合に加算される年金です。
対象となるのは、原則として65歳未満の配偶者、または18歳未満の子(一定の障害がある場合は20歳未満)です。条件を満たしていれば、老齢厚生年金に上乗せして支給されます。
加給年金の受給額は以下のとおりです。
年額で40万円を超えるため、老後の家計に与える影響は決して小さくありません。
通常、65歳時点で厚生年金の加入期間が20年以上などの条件を満たしていれば、老齢厚生年金の請求とあわせて加給年金の手続きも同時に行われます。
しかし、65歳を過ぎてから厚生年金の加入期間が20年に達した場合は、条件を満たしても自動的に加給年金が加算されず、自ら手続きを行う必要があるため注意が必要です。
今回のセイジさんのように、65歳時点では加入期間が届かなかったものの、その後も働き続けて条件を満たしたケースも、原則として申請が必要となります。
なお、手続きが遅れていた場合でも、加給年金は最大5年前までであればさかのぼって請求することが可能です。一方、5年を超えた分については受給できなくなるため、気づいた時点で早めに確認しましょう。
後日、セイジさんは加給年金の手続きを行い、未受給だった分も含めて無事に受け取ることができました。
加給年金は、条件を満たしていても申請しなければ受け取れない場合があります。65歳以降も働いた人や配偶者が年下の人は、一度しっかりと年金の内容を確認しておくといいでしょう。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP

