定年退職時は“まとまったお金”が手に入るタイミングです。住宅ローンを組んでいる場合、退職金を使って「繰上返済」を検討している人も多いでしょう。しかし、YouTubeチャンネル登録者数10万人以上、元俳優という異色の経歴を持つ井上ヨウスケFPは「退職金を使った繰上げ返済はおすすめできない」といいます。いったいなぜなのでしょうか、詳しくみていきます。※相談者の情報はプライバシー保護のため一部変更しています。
住宅ローン残債1,000万円の59歳・定年直前サラリーマン、退職金1,800万円で〈繰上返済〉を検討中だが…FPが「絶対にやめたほうがいい」というワケ【お悩み相談】
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住宅ローンの残債約1,000万円…「退職金」で繰上返済してもいい?
【本日の相談者】
Aさん59歳(男性)
収入:月収45万円、ボーナス90万円(年2回)
貯蓄:預金700万円、投資信託120万円(NISA)
支出:35万円
家族:妻(専業主婦)、長男(30歳)長女(25歳)
備考:神奈県の持ち家で、妻と長女と3人で暮らしている。長男は都内でひとり暮らし。隣県に両親(80代)が住んでおり、父親が足を悪くしているため現在母親が介護中。
4人家族の大黒柱、59歳Aさんの悩み
Aさん「来年受け取る予定の退職金(1,800万円)の使い道に悩んでいます。我が家は住宅ローンがあと1,000万円ほど残っており、退職金での繰上返済を検討しています。
ただ、両親の介護や長女の結婚資金、また自分たちの老後資金としてある程度キャッシュを手元に残しておきたいという思いもあり、ほんとうに繰上返済をしたほうがいいのか、それともまとまった現金を持っていたほうがいいのか悩んでいます。
退職金の使い道と、60歳で定年を迎えたあとの生活についてアドバイスが欲しいです」
FPの回答…退職金は上手に使わなければ「老後破綻」の可能性
今回紹介するのは、住宅ローンを退職金で繰上返済しようか悩んでいる、という相談です。
日本経済団体連合会の『2021年9月度退職金・年金に関する実態調査』によれば、大卒で勤続年数38年の人の場合、退職金額は平均2,243.3万円となっています。相談者の退職金額は1,800万円と、平均値よりはやや低いとはいえ、決して少ない金額ではありません。
しかし、その少なくない退職金も上手に使わなければ「老後破綻」につながりかねません。上手な活用方法という点から考えると、Aさんが検討している「退職金を使った繰上返済」はおすすめできません。
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