帰省のタイミングで親が管理している銀行口座や印鑑の置き場所などを確認しておくといざというときに慌てなくて済みます。本記事では、親のために子ができる財産管理の手伝い方について、ケアマネジャーの田中克典氏の著書『親への小さな恩返し100リスト』(主婦と生活社)より解説します。
生命保険の内容を一緒に見直す
何十年も前に生命保険を契約し、毎月、保険料が引き落とされているけれど、保障内容を忘れてしまい、保険証書も見つからない……高齢者には「あるある」なケースです。一度、親の生命保険をすべて棚卸しして、保障内容を確認し、今の親にとって、その保障が必要かどうか、見直しましょう。
もちろん親の意向を尊重して、判断は親に任せます。一方で、増やす保障としては、介護が必要になったときに給付金が出る介護特約や認知症特約は、長生きリスクの備えとして検討してみてもいいと思います。いざ介護が必要になったとき、特別養護老人ホームは空きがなく、1年2年待つケースも。保険の給付金が入ってお金に余裕ができれば、民間の老人ホームなど選択肢が広がります。
「介護が必要になったとき、私はなかなか来てあげられないから、こういう保険に入るのはどう?」と、子から親に提案するのも、親孝行の一つだと思います。
預貯金以外の資産についても共有
預貯金よりさらに把握しづらいのが、有価証券、ゴルフの会員権、不動産などの財産。これも親がしっかりしているうちに聞いておき、売る時や相続の際に必要な証書などの保管場所を確認してください。
不動産は親が住む家だけでなく、たとえば父親が昔、別荘を購入していて、子はその存在を知らなかったというケースもあります。また、借金やローンなどマイナスの財産がないか? も聞いておく。遺産相続の際、プラスの財産だけを相続することはできないので、子も把握しておくべきです。
親は言いにくいと思いますが、隠しているのも苦しいもの。子どもにすべて打ち明けて共有してもらうことで、少し肩の荷が軽くなるはずです。加藤茶さんがCMで、エンディングノートを書いて、「すっきりした」とつぶやくシーンがあります。親にとって自分の財産を洗い出して、見える化することは、まさに心がすっきりし、安心感を得られると思います。
田中克典
ケアマネジャー