警察庁の発表によると、令和5年の住宅対象侵入窃盗(いわゆる空き巣)の認知件数は1万7,469件だそうです。これは、1日あたり約48件の空き巣が発生している計算になります。こうしたなか、土地家屋調査士で心理カウンセラーの資格を持つ平田真義氏いわく、「空き巣を呼び寄せる構造の家」があるそうです。それはいったいどんな家なのか、同氏の著書『住んでる人の性格は家と土地が教えてくれる』(自由国民社)より、事例を交えて紹介します。
「実は、3回も空き巣に入られたんです」都内一等地の戸建に住む70代女性が衝撃告白…当てはまったら要注意な〈空き巣に入られやすい家〉の特徴【土地家屋調査士の助言】
「空き巣に入られやすい家」の特徴
この家の特殊な立地は、まさに空き巣を呼び寄せる構造だったと思います。
空き巣などの侵入者がもっとも嫌うのは人の目ですが、この家は極端に人目がありません。
3メートルほどの狭すぎる前面道路は車の抜け道にもなっておらず、人通りの往来も皆無です。道路を挟んだ向かい側にはアパートが建っているのですが、その出入り口は依頼者さん宅の方を向いておらず、アパートの住人が依頼者さん宅前の道を通ることはありません。
北側は空き地、南西はコインパーキングで、いずれも人が滞留する場所ではありません。
空き巣にとってはほとんど誰にも姿を見られる心配がないのですから、これほど仕事がやりやすい家もないでしょう。
もうひとつ致命的な点を言えば、お隣が「コインパーキング」というところ。コインパーキングではなく月極駐車場だったら、契約している人しか駐車しないので、まだマシです。
コインパーキングは、不特定多数の人が出入りします。その光景が当たり前なので、見たことがない人がいても、あまり警戒心を抱きません。しかも、パーキングに駐車しておけば車の中から家を簡単に覗くことができます。空き巣の下調べも簡単です。
コインパーキングと同様の理由で、隣が広い公園の場合も、あまり好ましいとは言えません。環境的にはよさそうに思いますが、公園には不特定多数の人が出入りするので、防犯上よくありませんし、何より公園にいる人の視線がストレスにもなります。
いくら人目による監視が犯罪を防ぐと言っても、よく知っている近所の人などの目でなければあまり意味がないのですね。
幸い、依頼主さんご一家はこの家を売却して引っ越したので、その後は空き巣におびえることもなくなりました。
このようなケースでは、引っ越すのが最善の策だと私も考えます。
でも、引っ越すことができない場合は、どうしたらよいでしょうか。
依頼主さん宅のような前面道路が狭い土地の物件は、建て替えをすると、道路の幅を広げなくてはなりません。建築基準法上の「42条2項道路」といって、幅が4メートル未満の道路の場合は中心から2メートル当該地側に下がる必要があるからです。
いわゆる「セットバック」というものです。
道幅が広くなれば土地の印象が変わり、人も車も通りやすくなるので通行量が増えます。将来的に人も滞留していくことで、空き巣に狙われる可能性も低くなっていくことでしょう。
平田 真義
土地家屋調査士