Amazonは圧倒的な「利便性」を武器に、多くの国々へ進出しています。ネット上で必要なものを探して注文すると、たいていの場合、翌日までに自宅まで届くという仕組みは、私たちの生活のなかで当たり前となっています。しかし、Amazonが進出していない国もあります。その一つがデンマークです。数年前、北欧進出の噂が出回ったこともありましたが、現状では北欧にAmazonはありません。本記事では、日暮いんこ氏の著書『北欧、暮らしてみたらこんな感じでした』(大和出版)より一部抜粋・再編集し、北欧暮らしの実態について紹介します。
北欧の人々は「モノに対する執着心」が弱い
ネットで「ポチ」って次の日には玄関の前に届いている、そんな甘やかされた環境で育った私にとって、デンマークのネット通販事情はかなり過酷です。
まず、Amazonのような大きな通販サイトはほぼなく、目当ての商品も見つけにくいし、ネットサーフィンしてほしいものを見つけるという楽しさもほぼありません。
そういえば、そもそも北欧諸国の人々は、買い物やモノの消費を「娯楽」や「幸せ」としてみなす意識が薄いという調査結果を見たことがあります。確かに、街のショッピングセンターやお店も、日本と比べるとギラついていないというか、良くも悪くもかなりあっさりしているお店ばかり。「限定!」や「半額!」のポップに血が騒ぐ、買い物好きの私としては正直物足りないと言わざるをえません。
それからデンマークに来たばかりのころ、「スーパーで音楽がかかってないのが殺伐としていて寂しい」と友達に言ったら、「日本ではそんなノリノリな感じで音楽がかかってるの? スーパーで?」と面白がられたのを思い出しました。
ネット通販奮闘記
話をオンラインショッピングに戻しますね。あれこれ苦労しつつ商品を注文してから、品物が届けられるのは1~2週間くらいで、大抵家の前までは無料では届けてくれません。だいたい数km先のスーパーに取りに行って、レジの人に荷物番号と自分のIDを見せて、ようやく受け取り完了です。
そうしてやっとの思いで家で箱を開けてみると、手に入れたブツに問題があることも比較的高頻度であります。そのときはもう、膝から崩れ落ちます。
そうしてネットショッピングが娯楽から苦痛となった結果、言わずもがな浪費が格段に減りました。デンマークに移住して以降のクレジットカードの請求額の少なさを見て、これまでいかに便利な買い物体験に誘われ、必要のないものをたくさん買ってしまっていたのかを思い知ります。