家族や同居人のような身近な人が亡くなってしまったとき、とても冷静ではいられない、と考える人も多いのではないでしょうか? とはいえ、葬儀にいたるまでのさまざまな手続きについては、事前に流れを把握しておく必要があります。相続コーディネイターである曽根 恵子氏の著書『2025年版[図解]身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より詳しくみていきましょう。
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死亡届と死亡診断書は“7日以内”
身内が亡くなった際に、医師(もしくは歯科医)によってつくられる死亡診断書は、法律上の死亡を証明する書類です。自宅や病院で亡くなった場合は、医師が作成します。
しかし、事故などで亡くなった場合は、警察が遺体を検案して、死亡診断書ではなく死体検案書を作成します。この死体検案書を受け取ることができるのは3親等までの親族に限られていますが、委任状を用意すれば葬儀会社に代行してもらうこともできます。
死亡診断書と死体検案書は両方とも同じ効力をもつもので、その後の手続きでも使用できます。
死亡届はA3サイズで、左側が死亡届、右が死亡診断書となっています。法律では、死亡診断書の提出は身内が亡くなってから「速やかに」、死亡届は「7日以内」に提出する必要がありますが、両方がセットになっているため基本的には同時に提出します。
提出場所は、死亡地か故人の本籍地、届出人の住所地にある市区町村役所で、届出人には親族、同居人、家主、地主のほかに、後見人や家屋管理人などがなることができます。提出時には必要事項を記載します。押印は不要になりました。
死亡届の提出は、次の段階の手続きに欠かせませんので、故人の死後、速やかに行ってください。
コピーを事前に5枚ほど用意し、原本も必要
死亡診断書と死亡届は、このあとの手続きで必要になってきます。万が一、紛失したり破損すると、再発行には煩雑な手続きが必要となるので、あらかじめ5枚ほどのコピーをとっておきましょう。
ただし、生命保険の支払い請求などには、コピーではなく、原本や正式な写しが必要となるので、あらかじめ必要な原本の数を確認しておき、病院で死亡診断書を複数枚作成・発行してもらうか、死亡届の正式な写しである「死亡届の記載事項証明書」の発行を請求しましょう。
なお、「死亡届の記載事項証明書」は、死亡届の提出場所と同じく、市区町村役所で請求できます。
曽根 恵子
株式会社夢相続 代表取締役
相続コーディネイター