大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合・午後8時ほか)で、『枕草子』の作者・清少納言(ききょう)を演じているファーストサマーウイカさん。高畑充希さん演じる藤原定子のもとに女房として出仕し、心からの忠誠を尽くす姿も話題になっています。定子に心からの忠誠を尽くし、定子のために『枕草子』を書き上げたききょうについて、お話を伺いました。前後編。
ききょうの推し・定子さまとの“神シーン”誕生の裏側は? 定子の“光の部分”をひたすら書き続けた清少納言の使命と覚悟【ファーストサマーウイカ】
充希さんから「もらう」だけ…定子さまとの“神シーン”誕生の裏側
――ききょうが初めて定子に出会ったシーンがまさに推しに出会った瞬間を見事に体現されていて、SNSを中心に話題になりました。
ウイカ:私、去年の6月に定子さまのお墓にも行かせていただいたのですが、高貴な方なのでやっぱり身近に感じることは不可能に近いというか難しいので、せめて近くに近くにと思って、定子さまに関する本も読んでいました。
定子さまは25歳で世を去ったとは思えないほど立派なお方で、もし私が定子さまを演じる役だったら役作りに頭を抱えていたと思うのですが、定子さまを充希さんが演じる時点で私はただただ「もらう」だけ。「ここにこんな人がいらっしゃったらこうなるよ、そりゃ」というように、素直にそこにいるだけでよかったんです。定子さまの力というか、充希さんにも定子さまが降りていたと思うくらいあの目が本当にすごくて、泣かなくてもいいところで何回も泣いてしまったこともありました。
充希さんと一対一で見つめあってお芝居させていただくところは定子さま以外何者でもなかったですし、もう誰しもが定子を目の前にしたらああなると思います。説得力がありました。それは充希さんの力がとても大きいと思います。
――演じたという意識はあまりなかったという感じでしょうか?
ウイカ:最初の「わー! きれいー!」と心の中でいうシーンでは、芝居というニュアンスではないというか、演っているか演っていないかで言うと「演っていない」です。本当にきれいなんです。「みなさんあそこに座ってごらんなさいよ、ああなりますから」という感じで(笑)。
ブワーって全部の水分が出るような、緊張が溶けるような、マンガだといろいろな表現の仕方があると思うのですが、あのときはああしかならなかった。充希さんの「定子である」というセリフを聞いた時にブワッと風が来るような。実はお墓でもあったんです。定子さまのお墓に行ったときにブワッと風が吹いたんです。あのときと同じ感覚がありました。