マンガ家の影木栄貴(えいき・えいき)さんが50歳にして結婚するまでの道のりを赤裸々に綴った初のエッセイ本『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(KADOKAWA)が5月に発売されました。1987年から1989年に内閣総理大臣を務めた故・竹下登さんの孫、ミュージシャンでタレントのDAIGOさんの姉で、最近は北川景子さんの義姉という肩書き(?)も加わった影木さん。本の反響も続々と届く中、「婚活がうまく行ったのは実家が太いからでしょ」という声もあったと明かす影木さんにお話を伺いました。
「竹下総理の孫」だけでは続けてこられなかった28年間
――本を読んでも自分を非常に冷静に観察されているというか、達観している様子が伝わってきたのですが、そのような心境に至るまでに葛藤のようなものはあったのでしょうか?
影木:マンガ家デビューして2年目くらいの頃に「竹下登の孫はマンガ家」と文春砲でやられて、まだまだマンガ家としては未熟なときにバラされちゃって「(マンガ家になれたのは)コネだろう」と言われたこともあったんです。当時はマンガ家として未成熟だったのでそれがとてもショックでした。
「祖父に頼っていたら祖父がいなくなったときに何もなくなる」と思ってマンガの道に邁進してやっとつかんだ自分の居場所だったのに、祖父の力でゲットしたと言われたらショックですよね。「本当に祖父の力でデビューできるんだったらジャンプでデビューするよ!」と思ったりもしたんですけれど(笑)。
でも、結局それも時間が解決してくれました。やっぱりマンガ家として28年間続けてこられたわけだから。この28年という年月は「竹下総理の孫」ということだけで続けられる年月ではないと思っていて。だから何を言われても気にならなくなったというのはありますね。私が積み上げてきた実績は誰がなんと言おうと変わらないから、自信が持てているということですかね。
DAIGOだってそうですよね。DAIGOの場合は最初はめちゃくちゃおじいちゃんを使ってましたけど、16年やってきているのでそれはDAIGOの頑張りと努力だなと思っています。まあ私たちの場合、政治家になっていたら2世3世と言われるけど、マンガ家とミュージシャンなので1世なんですけれどね……。
――確かにそうですね。
影木:それでも2世とか3世と言われがちなんですけれど、やっぱり続く人とそうじゃない人がいるじゃないですか。結局その人の向き不向きもあるし、頑張りもあるし、運もあると思うんです。
――やっぱり運というのはありますか?
影木:正直あると思っていて、なぜ普通のおじいちゃんが総理大臣になったのか? と思うんです。当時、祖父と宮沢(喜一)さん、安倍(晋太郎)さんでニューリーダーと言われていたのですが、あのときに安倍さんが選ばれていたら竹下は選ばれなかった可能性もあるわけで……。だからやっぱり運というのはある気がします。