2人が出会ったのは“イニョン”があったから

ソウルに暮らす12歳の少女ノラ(グレタ・リー)と少年ヘソン(ユ・テオ)。2人はお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後、24歳になりニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいた2人は、SNSで再会を果たし、お互いを思いながらもすれ違ってしまう。そしてさらに12年後の36歳、ノラは作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっと巡り逢えた2人の再開の7日間を描く。

(C)Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
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監督は、韓国出身のセリーヌ・ソンで。12歳のときに家族とともにカナダへ移住した自身の原体験を元にオリジナル脚本を執筆した。今年の第96回アカデミー賞の作品賞、脚本賞にノミネートされたほか、世界各国の映画賞で246のノミネート、88の受賞を果たし、SNSでも話題になっている。

見ている者の「もしも」に訴えかける作品

物語は、「見知らぬ者がすれ違ったときに、袖が偶然触れるのは、前世(PAST LIVES)で2人の間に“縁(イニョン)”があったから」という「運命」を意味する韓国の言葉「縁(イニョン)」をキーワードに展開。イニョンは韓国の言葉ではあるけれど、「袖振り合うも他生の縁」ということわざにもある通り、日本に住む私たちにもなじみ深い考え方なのではないだろうか?

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「もしもあの時、もう一つの選択をしていたら……」「もしもあの時、別の人と結ばれていたなら……」という誰もが何度かは思を巡らせたことがあるであろう「もしも」。劇中の登場人物たちが感じるいくつもの「もしも」が観客一人ひとりの人生における「あの時」の選択に重なり、見る者の心の中に存在する「もしも」に訴えかける。

年を重ねるごとにいろいろな経験をして、そのたびに傷ついたり、後悔したり、生きることは決して楽ではないし、無傷でもいられないけれど、それでも何とか日々を送っている大人にこそ見てほしい映画だ。

『パスト ライブス/再会』は全国で公開中。

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配給:ハピネットファントム・スタジオ